第一章
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笑って受け入れる
坂本龍馬はこの時都にいた、そこで酒を飲みながら幼い頃から共にいた武市半平太と話をしていた、だがその話は今は倒幕のものではなかった。
都の巷の色々な話だった、その話の中でだった。
武市は坂本に不意にこんなことを言った。
「龍馬、おまん占いは好きじゃないのう」
「興味がないきに」
こう返す坂本だった。
「好きでも嫌いでもないぜよ」
「そうじゃな。しかし今都では面白い占い師がおるぞ」
「面白い?」
「ああ、そうじゃ」
武市は山城の酒を飲みながら笑いながら言う。
「占ったことは何でも当たるっていうな」
「ほお、運命が見えるんじゃ」
「そうらしいぜよ。おまんも占ってもらうか?」
「そうじゃな。別に占ってもらわんでもええが」
これは逆に言えばだった。
「占ってもらってもええぜよ」
「じゃあ占ってもらうか」
「ああ、そうするきに」
こう武市に答えた。
「そういうのも面白そうじゃ」
「そうじゃな。わしはな」
「武市さんはせんのか」
「わしは怖いわ」
その目立つ顎を摩りながら笑って言う。
「若し占いで言われたことが悲惨だったらどうじゃ」
「落ち込むっていうんじゃな」
「落ち込んで生きていられんぜよ」
幼い頃からの親友に笑って述べる。
「だからぜよ」
「そうか、だから占ってもらわんのか」
「わしも色々やっとるぜよ」
暗殺がその得手だ、やはり幼い頃から知っている岡田以蔵を使って邪魔な者を片っ端から消していっている。
それがどういったことかは武市自身もわかっている、それでこう言うのだ。
「いい死に方はせんぜよ」
「それでか」
「まあ最期の最期まで意地は見せるつもりじゃがのう」
この覚悟はあった。
「それでもいい死に方はせんぜよ」
「だから聞かんか」
「わしは聞かん」
武市は言い切った。
「おまんだけで行け」
「わかった、じゃあ行ってくるぜよ」
「結果は言わんでもええぜよ」
それは聞かないというのだ。
「おまんの心の中にしまっとけ」
「そうしていいんじゃな」
「ああ、おまんだけでな」
こう二人で飲みながら話をしてだった。坂本は武市からその占い師がいる場所も尋ねた。
「で、都の何処ぜよ」
「南禅寺の傍じゃ」
「おお、そこか」
「そうじゃ、夜になったらおるそうじゃ」
その時にだというのだ。
「それで何でも占ってしまうそうじゃ」
「わかった、じゃあ行って来るぜよ」
坂本は酒を飲みながら笑顔で応えた、そしてだった。
その南禅寺の傍に夜に行った、だがここで。
武市は坂本を心配してこう言った。
「おい、行くのはいいにしても」
「夜に一人で歩くと危ないっちゅうな」
「そうぜよ。新撰
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