二十五話〜最終回〜
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の距離は八メートル。かなり厳しい距離だ。
ジャンプして上昇を続ける体。
後二メートル。
まだ伸びる。
後一メートル。
……伸びない。
「邦介君!! 掴まって!」
リンディさんが手を伸ばすが、指先が触れあっただけでその手を掴むことは出来なかった。
「大丈夫です! 俺は生きて帰ります!!」
ただ、その言葉だけを告げて、俺は虚数空間の奥深くへと落ちていった。
俺とルナはあの家族が仲直りした後に、真っ暗な虚数空間をただただ落ちていた。
『落ちてしまいましたね……』
「そうだな……。思ったんだがここって終わりはあると思うか?」
『重力の終わりですから……正直よく分かりませんが無いんじゃないでしょうか?』
「なら、俺が死ぬことは無いか」
俺は不老であり、ある意味では不死に近い存在である精霊の特徴を多く受け継いでいるため、飯を食わずとも死ぬことはない。
だが、それでも問題はある。
「どうやって出ようかなあ……」
試しに異世界魔法を発動させようと手のひらに火の玉を出そうとするが、燃える兆しが見えた瞬間に消滅する。
どうやら、異世界の魔法でもデリートされてしまうらしいが、体内の魔力までデリートされてしまうというわけではないらしい。
その証拠に先程魔法を発動させようとして、火が出る兆しがあった。
……つまり勘だが、体内ならば魔法を発動させることが出来る。
「まずは実践。だな」
体内に電撃を流すと流れる直前で消えてしまうものがあるが、それでも体内に巡った電撃は消える気配は見せない。
成功だ。
「それで、次の問題は体内で発動できる魔法で、この場所を切り抜けるものは無いだろうか」
『空間転移はどうですか? あれならマーキングした場所に跳べますよね?』
「確かに可能だが、空間転移は体内じゃなくて外に出す物だから不可能だ。まあ、体内で発動すれば体が断裂して抜けるよりも先に痛みで死ぬだろうけど……な。……痛み?」
痛みで何か使える奴があった気がするな。
そう思い、少し考えてみると思いついた。呪いだ。
呪いを成立する際の煙が出ることが呪いが成立した証だが、あれも魔法なためここでは意味をなさない。
……だが、体内で呪いを発動し、体内で煙を発生させればデリートされずに済む、はずだ。
『何かいい手は思いつきましたか?』
「ああ。命がけだが、これなら抜けられる可能性もある。呪いを体内で発動させるんだ」
『そうですか……いえ、何も言いません。私はあなたのデバイスなのですから』
「そうかい。一応お前に呪いの内容を伝えておくから、呪いを発動させた後はルナがなんとか切り抜けてくれ。今回の代償はちょっとでかすぎるからな」
『了解しました。……どこま
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