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自由気ままにリリカル記
二十五話〜最終回〜
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それを見て、わずかにだがテスタロッサの顔が歪む。

『お母さん! 止まって!』
「っ! なんで! やっと……やっと会えたのに!」
『お母さんには言いたいことがあるの。そこで聞いて』
「アリシア……姉さん? 一体何をするの……?」
『安心して、フェイト。あなたの気持ちをなんとしてでも私が届かせてみせるから……。お母さんは私の全身全霊を掛けて死なせない。正気に戻して見せるわ』
「アリシア……何を言っているの? お母さんは正気よ? ……さあ、お母さんと一緒にお家で暮らしましょう?」

プレシアの言葉に、無言でゆっくりと首を横に振るアリシア。

「アリシア……?」
『お母さん。それはもう駄目なことなんだよ。私はあの時に死んだの』
「それでも私の研究を利用すれば……」
『お母さん……私の体のことなんだよ……? 私が一番生き返れるかどうかなんて理解しているよ。……そんなことよりなんで私は生き返ることが出来ないことが分かっていたのにこうして、この世界を幽霊になって彷徨っていると思う?』

問いかけるが、プレシアは無言で俯く。
今のプレシアは俺が魔眼を発動させたことによって、多少感情が素直に出やすいようになっている。だが、それでもあの程度で治まっているのだから、余程プレシアの気持ちは固いのだと否が応でも理解出来る。

『それはね、お母さんが私の所為で体と精神を壊していっているのもあるけど……何よりもフェイト……私の妹の事が心配で心配で堪らないからだよ! お母さん。いつまでフェイトの事を娘じゃないって自分で自分を騙し続けるの!?』
「わ、私は偽ってなんかいないわ。……フェイトはお人形。あなたに似た姿をしたお人形なのよ?」
『ううん、私は知ってるよ。……だって私は死んでからリニスがいなくなるまでお母さんとフェイトの側にずっといたんだもん。だからお母さんしか知っていないことも知っているんだよ。最初にフェイトが作られた時お母さんはアリシアって呼んでいたこと。途中で私とは内面が違う事に気づいて、一旦フェイトの記憶を消したこと。そこでお母さんはフェイトを殺そうとしたこと……』

そして、一旦アリシアは一息入れた。
プレシアは驚愕に目を見開いていた。

『だけど、お母さんはフェイトを殺さなかった』
「そ、それはあなたがいない代わりの慰み物として……」
『嘘だよ。お母さんはフェイトを殺そうとした時に気づいたんだよ。お母さんの中にフェイトを自分の娘の一人として考えている自分がいたことに……。だからお母さんはフェイトを殺さずに、私の名前以外の別の名前を付けたんだ』
「ち、違う……。私の娘はアリシアだけよ……」
『それも嘘。お母さんはフェイトを娘として受け入れた時の事を考えた。……いえ、考えてしまった。私に瓜二つな姿をしたフェイト
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