第二幕その六
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
返した。
「男の意地がね」
「じゃあ私にも女の意地があるのね」
ムゼッタも負けてはいない。
「そして私が勝った」
「負けてあげたのさ」
「あら、そうなの」
「まあ負けたことは認めるよ」
その点に関してはマルチェッロも素直であった。
「君にね」
「お帰りなさい」
「只今」
言う方が逆であったがこれでよかった。そしてそれを見守るロドルフォ達のところに店のボーイがやって来た。
「お勘定ができました」
「ああ、もうか」
ショナールが鷹揚な動作で頷く。
「さて、と」
そしてその勘定を受け取る。見た途端に表情が一変した。
「な・・・・・・」
「どうしたんだい、一体」
これに気付いたコルリーネが声をかける。
「酔いが急に醒めたみたいだけれど」
見ればショナールの顔が真っ青になっていた。さっきまでの赤ら顔は完全に消えてしまっていた。
「醒めたもこうしたもないよ」
声まで青くなっていた。
「これを見てくれ」
「!?」
「ただのお勘定じゃないか」
ロドルフォも覗き込む。すると二人は同時にその顔を青くさせショナールの後を追った。
「な・・・・・・」
「おい、これ」
ロドルフォも声が青くなっていた。その青くなった声でショナールに問う。
「何だよ、この値段」
「こんなに食べたか?」
「多分あいつだな」
ショナールはそう言いながらマルチェッロを指差した。
「マルチェッロが」
「さっきまでワインをがぶ飲みしていただろ?」
「ああ」
「それだ。その値段だよ」
「僕達の分もあるみたいだぞ」
ショナールは勘定を読みながら言った。
「これを見ていると」
「で、問題はだ」
ショナールはここで二人に対して言った。
「お金はあるかどうかだが」
「それだ」
「僕が稼いだお金だが・・・・・・ん!?」
服のポケットを探し回りながら困惑した顔を浮かべる。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ