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三角座り
第五章
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れで終わらせるつもりは毛頭なかった。
 そのうえで自分から目が離せなくなっている健一を見ていた。三角座りのままだが目は本気のままだった。
 数日の間健一はずっと真綾を見ている。もう周りは気付いているがやはりあえて何も言わないままである。
 そしてある日学校の授業が全部終わったところで真綾は下校しようとする健一に対して何気なくを装って声をかけた。
「古田、いい?」
「えっ、沖本何だよ」
「実はね。買い物に行くんだけれど」 
 何気なくを装っているが内心は必死で健一に言う。
「ちょっと重いものになりそうだから運んで欲しいのよ」
「重いのかよ」
「だから付き合ってくれる?」
 真綾は自分より背の高い健一の顔をじっと見た。下から彼の目を覗き込む、それもまた誘いだった。 
 そしてその誘いにもう健一は逆らえなかった。喉をごくり、と鳴らしてそれから真綾に対してこう答えた。
「ああ、じゃあな」
「二人で一緒にね」
 真綾は心の中でやった、と思った。だがそのことは決して顔には出さずそのうえで健一の手に自分の手をそっと出して絡み合わせた。肉食系の狩りは成功した。


三角座り   完


                    2012・11・3
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