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三角座り
第四章

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「うちの学校競泳水着じゃないからな」
「ああ、特に水着の指定はしてないけれどな」
「うちの学校女子は基本スクール水着だからな」
「だからいいんだよ」
「あれもまた漢の浪漫だよ」
「いや、だから俺の浪漫は違うんだよ」
 健一はその目を少しむっとさせて自身の主張を述べた。
「前にも言ったよな。やっぱりな」
「競泳水着かよ」
「それかよ」
「ああ、それだよ」
 まさにそれだというのだ健一は譲らない。
「それがいいけれどな。指定がないのにな」
「大体スクール水着だからな、うちの女子」
「露出を嫌ってか?」
「だがそれがいい!」
 またしてもこんな言葉が出る。
「スクール水着、あれは最高の浪漫の一つだからな」
「ブルマー、セーラー服と並ぶ神が創られた最高の芸術だよ」
 セーラー服はまだあるがもうブルマーがないのは彼等が体育の授業に深く嘆き悲しんだ通りである。
「その一つスクール水着」
「いざ拝むか」
 こんなことを言って水泳の授業に挑むのだった。しかし健一は競泳水着がないことに残念さを思うばかりだった。
 だが水泳の授業の時は来た、そしてだった。
 男女共に着替えてプールに出る。男達は女の子達のその水着姿を見て今最高の浪漫を感じていた。
「我が生涯に一変の悔いなし!」
「絶景かな絶景かな」
 歌舞伎の言葉まで出る。プールサイドの女の子達はまさに天使だった。
 彼等はその天使達を見てこれ以上はないまでにはしゃいでいた。
「いや、今夜は大変だな」
「ああ、もうな」
「ちょっと寝るのが遅くなるな」
「どうしても目に焼きついてな」
「悪くはないけれどな」
 ここでもこう言う健一だった。
「けれどそれでもな」
「おいおい、相変わらずノリ悪いな」
「だからスクール水着がいいだろ」
「何度も言うけれど俺は競泳水着派なんだよ」 
 あくまでこう言う健一だった。そして。
 やれやれといった感じでその場に座ろうとする。だがここで。
 女の子達の方を見て目が釘付けになった。何とだ。
 スクール水着の中に一人だけ競泳水着の娘がいた、彼女はというと。
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