第二章
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「見えるよ、一緒に遊んでるし」
「今日も一緒に鉄棒したよ」
「昨日は鬼ごっこしたしね」
「仲良く遊んでるよ」
「そうしてるけれど」
「それがなんだよ」
「変わるのよ」
彼等はその弟や妹達に話す。
「今はそうでも」
「絶対にね」
「ええ、そんなのないよ」
「ある訳ないじゃない」
彼等はかつての自分達の様に言う、聞いていてそう思った。
「今楽しく一緒に遊んでるのに」
「それが変わる訳ないよ」
「僕達これからもずっと一緒に遊ぶよ」
「仲良くね」
「そうはならないからな」
「どうしてもね」
兄や姉達は弟や妹達に寂しい笑顔で語る。
「やがては見えなくなるから」
「何をしても」
こう言うのだった、だが弟も妹も信じない。彼等は今も座敷わらしと共に楽しく遊ぶばかりだった。それが彼等だった。
だが彼等もだった。
背が伸びるとやがてはだった。
何かと一緒に遊んでいる彼等の弟や妹達を見て懐かしい顔で言った。
「昔はああしてな」
「ええ、一緒に遊んだわね」
「ずっと続くと思ったのに」
「それが」
そうではなかった、そのことを彼等も知ったのだ。
そして彼等の兄や姉達の言葉を思い出して語り合った。
「ずっと子供じゃないんだな」
「何時か大きくなって」
「座敷わらしが見えなくなるか」
「私達もそうなのね」
彼等の弟や妹達に聞いても同じことを言うだけだった、彼等から見れば弟や妹達は空間に語りかけて幸せそうにしている。
だがその彼等もまただった。
同じことを経験した、やがて彼等はさらに成長し結婚し子供が出来た、その子供達は学校から帰って来てこう言うのだった。
「今から遊びに行くね」
「何処に行くの?」
「座敷わらしちゃんのところ」
そこにだというのだ。
「行ってくるね」
「そう、じゃあ楽しく遊んできてね」
「うん、行ってくるね」
子供は笑顔で親に送り出される、親達はその彼等を笑顔で見送る、そのうえでこう思うのだった。
「あの子達も何時かは」
見えなくなるだろうと笑顔で思いながら見送ったのだった、親として。
座敷わらし 完
2013・1・26
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