GGO編
百十三話 問いかける少女
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
成りそんな事言われたら驚いて抱きついちゃうよ」
「等と、意味不明な供述をしており……」
言ったアイリを傍目に、リョウはのんびりとそんな事を言っていた。やがてようやくリョウが助け船を出す頃には、戦闘をした訳でもないのにシノンは少々息を切らしていたのだった。
────
「さて、行ったか……」
「うん」
キリトとシノンを乗せたハンヴィーが走り去り、洞窟の入口を眺めながらリョウが言った呟きに、アイリが小さく答えた。
「さて、俺らもすぐ出るんだ。準備良いか?」
「うん」
岩壁に寄りかかって座ったアイリに振り向きながら言うと、彼女は軽く頷く。
「…………ふぅ」
溜息をつきつつ、リョウはアイリの正面に座り込んだ。と、そんなリョウに探るように、アイリが口を開いた。
「ねぇ、リョウ……怒ってる?」
「は?」
行き成りの発言に首をかしげて聞くと、
「あの……昔の事、二人に勝手に話した事……」
「あぁ、何だ、んなことか……」
ふん。と鼻を鳴らして、リョウは肩をすくめた。
「別に、お前とアイツらだけになったら、どうせキリトの事だから聞くだろうと思ってたしな……第一、お前がアイツらにどんな話しようが、そりゃお前の勝手だ。俺に口出しする権利はねぇよ」
「…………」
そんな答えに、アイリは少し黙り込む。
別にキリトやシノンの答えを知っている訳でもないのに、この動じ無さは本当に驚きである。アイリが見てきた中でも、リョウコウという人物は、本当に我のしっかりとした人間だった。
何を言っても動じず、初めて学校で自分と顔を合わせた時も、「あぁ、前に会ったな」程度でひとかけらの動揺すら浮かばせて来なかったのだ。その圧倒的な精神力には感服しているが……しかし同時に、やはりどうしてもアイリの中で強く頭に残っている“殺人者”としてのリョウのイメージを補強することにもなってしまって、一概に好意的な印象ばかりとは言えない。
「やれやれ……お前と二人きりっつーと、こないだの生徒会室ん時以来か……」
「そうだね……ねぇ……ひとつ、聞いて良いかな」
リョウの目を正面から見て言うと、彼は一瞬此方を見返してきた後……少し溜息をついて答えた。
「リョウは、人を殺したかった訳じゃ、ないよね?」
「……行き成りヘビーな質問だなオイ」
「聞きたいの……リョウはさっき、私に自殺みたいな事するなって言った……それってきっと、リョウが命を大切に思ってるって事だと思う……だから……「はぁ……何度も言わせんな」っ……」
真剣に言うアイリにしかし、リョウは遮るように溜息と共に言葉を吐き出す。
「死に目見るのに……殺しに好きも嫌いもねぇってんだよ。俺の答えは今も昔も変わらなねぇし、変えるつもりもねぇ……俺は、俺の命を守るためにあの女を殺した。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ