GGO編
百十三話 問いかける少女
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った。
「もう一人は……アイリを変えた人。アイリに、人殺しって言う選択肢を、示した人」
「…………」
「もしかしたら、逆恨みなのかもしれない……でも、それでも私は……今もその人を探してる」
「……何の、為に?」
シノンが、更に探るようなまなざしで聞いた。彼女から見たアイリの、その横顔は一瞬自嘲気味に笑うと、首を小さく横に振る。
「……わかんない」
「え……」
恨みごとを言うつもりなのか、あるいは復讐でもしたいのか……相手を探し出したとして、自分が何をするつもりなのか……それ自体、アイリには自分自身で分かって居なかった。
ならば何故、と聞かれればそれは……
「もしかしたら……思い込みたいだけなのかもね……」
「…………」
「私の知ってるあの子は、本当はあんな事考える子じゃない。きっと誰かに言われて、操られてただけなんだって、私の中の優しいあの子の事を生かしておくために、そう思いたいだけなのかも」
少し俯いて、笑うような、けれど決して笑っている訳では無く、泣くような……けれどもけして泣いて居る訳ではない言葉で、アイリは言った。
「勝手だね、私……仕方なかったのに、リョウの事恨んだり……自分の中の思い出の為に、もしかしたら全然罪も無い人を憎もうとしたり……私いっつも、誰かに罪をなすりつけようとしてる……」
「そんなこと……」
ない、と言い切る事は、口に出したキリトも出来なかった。それは、彼女の瞳が、あまりにも深く、悲しい色を宿していたのを見てしまったからだ。
そうして場に沈黙が降り……
「で……?それでもか?」
その沈黙を、リョウが破った。
「え?」
「それが分かってても、確かめてぇのかって聞いてんだよ」
「……うん」
その問いに、意外と言うべきか、アイリは即座に頷いた。
「それでも、確かめたい……だって……きっとあの子が死んだ事、ホントの事が分からなきゃ私……一生後悔するから」
それは、消えて行った彼女の友人として。そして、彼女を守る事の出来なかった、ふがいない自分を……きっと、生涯後悔し続ける事になるのだ。
それが嫌だとか、そう言う事ではない。ただそれではあまりにも無責任すぎるではないか。彼女が死ぬまでに感じた事、其処に至るまでの過程。全てが闇の中にあるままでは、あまりにもその死が寂しすぎるではないか……
そしてもし、その寂しさをほんの少しでも和らげられるかもしれないと言うのなら……
『そうすることはきっと……私の義務だ……』
「そうかよ……」
はぁ……と、一つ大きな溜息をつくと、リョウはキリトの方を向いた。キリトはかなり悩んでいる様子だったが、やがて重々しく頷く。
「わあったよ……キリト、お前とアイリ、交代」
「リョウ……!」
少し顔を
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