GGO編
百十三話 問いかける少女
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の姿を腕組みをしながら見ていたリョウが聞いた。
「……理由は?」
「え……」
「あ、兄貴!?」
アイリが唖然として顔を上げると同時に、キリトが驚いたように振り向いた。リョウはふんっ、と鼻を鳴らすと、特に面白くもなさそうに言う。
「俺があんだけマジでシノンの説得してんの聞いててまだ言うんだ。理由くれぇは聞いてやる。そのかわし、くだらねぇ事は言うなよ」
「…………」
脅すような、低い声で言ったリョウに、アイリはコクリと頷くと、重々しく口を開く。
「……確かめたい事があるの」
「確かめたい事……?」
シノンが聞くと、アイリはもう一度頷く。
「あの日、私が、あの子と……アイリと話してた時、アイリは確かにこう言ってた。『教えてもらったの』……って」
「…………」
「……どう言う事?」
シノンが、訳が分からない。と言った様子で首をかしげた。アイリは真剣な表情で、リョウに問う。
「リョウなら、分かるよね……」
「成程……ラフコフを疑ってんだな、お前」
「あ……!」
「えッ……?」
ラフィンコフィンには、壊滅当時三十人を超えるメンバーが居た。しかし、何故それだけの数のメンバーが、殺人を快楽と感じるアウトロー集団として集まったのかという所に疑問を向けると、実はそれはある一つの結論へと、答えを導いてくれる。
即ち、ラフィン・コフィンリーダーである、Pohの存在だ。
彼の話術、強いては人心掌握術は、正直なところ、SAOに存在していた幾つものギルドのリーダーの中で、突出して高かったと言ってよい。
英語、日本語、スペイン語等、三ヶ国語以上の言葉を話す事の出来るマルチリンガルとして能力。そしてそれをフルに生かした、マシンガンのように立て続けに、スラング交じりにテンポよく話す、ある意味では美しくさえある独特の会話法。
そして、人の心の内を見透かし、その価値観を察する事の出来る読心術。
それらを駆使して、Pohは出会った者達の価値観を塗り替えるとともに、道徳心によるリミッターを緩め、自らと同じ殺人者の道へと引きずり込んで行ったのだ。
此処まで言えばおわかりだろうが、アイリが疑っていると言うのは、つまり……
「私が、SAO時代に、あの子が居なくなってから、名前も知らない、手がかりも無い人を二人探したの」
「…………」
「それって……」
キリトの沈黙と、シノンの言葉に、アイリは少し苦笑気味に返す。
「一人は、アイリを殺した本人。つまり……リョウだよ」
「…………」
まっすぐに自分を見たアイリの瞳を、リョウは眼を反らす事も無く正面から受け止める。小さな言葉で、話したんだな。と問うて、キリトは思わずその言葉に頷いた。そうして、リョウと正面から見つめ合った……あるいは、睨みあったまま、アイリは言
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