第116話 劉協
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協皇子の身を護って欲しいのじゃ」
絶体絶命のピンチから外れた気がしますが、面倒なことに変わりありません。
「私以外にも代々の重臣がいるにも関わらず、何故、私なのでしょうか?」
皇帝陛下に疑問をぶつけることにました。
「決断したのは其方の北方の蛮族への仕置じゃ。劉ヨウ、其方は反逆した蛮族の頭すら助命し見逃した。其方は慈悲深き男だ。蛮族に女を差し出せたそうだが、手はつけておらぬと聞いておる。女は蛮族を救うための方便であったのであろう」
私は皇帝陛下の言葉に背筋が凍り付きました。
彼は何故、私の北方での行いを知っているのでしょう。
私の動向を監視するために間者を送り込んでいたということになります。
何処まで私のことを把握しているのでしょう。
武器製造など知られるとまずい情報があり過ぎます。
「皇帝陛下の深謀遠慮痛み入ります。皇帝陛下のお見立て通りにございます」
私は乾いた唇を少し湿らせ皇帝陛下の問いに応えました。
「劉ヨウ、返事を聞かせてくれぬか?」
この頼みを拒否するのは無理でしょう。
「この劉ヨウ、協皇子をお護りすることをお誓いいたします」
「よくぞ申してくれた!」
皇帝陛下は私の手を強く握り力強く言いました。
これで表向き、今後、劉協を蔑ろにはできなくなりましたが、揚羽は密議の約束であることとを理由に反古にするつもりでしょう。
皇帝陛下が死に劉弁が帝位につけば、この話を知るのは劉協と張譲のみです。
張譲が口にするようなら始末すればいい。
力無き劉協が一番厄介です。
史実通り華琳の手に落ちれば、彼女はこのネタを必ず利用することでしょう。
不忠の臣・劉ヨウとして私を罵り、討伐の大義名分にされるのが目に見えています。
劉協はやはり劉弁の廃位した偽帝として誅殺するか、私の手元に置くかしなければならなくなりました。
劉協を誅殺できるかどうかは、その時の時勢に左右されるので確定ではないですが、揚羽は偽帝として誅殺した方が後々のことを考えれば上策と思っているのでしょう。
私は皇帝陛下の喜んでいる表情を見るに後ろめたい気持ちになりました。
私は皇帝陛下から劉協に目を移しました。
「協、何かあれば劉ヨウを頼れ。良いな」
皇帝陛下は私が劉協に視線を送るのを見て劉協に言いました。
「はい、父上」
劉協の表情からは感情は読み取れませんでした。
初対面の私に心を開いて話す方が違和感を感じますし、これが当然の反応です。
薄暗い部屋で劉協の表情はわかりづらいですが、白磁の肌と黒髪が印象的な美幼女です。
彼女は歳のころは9歳位、幼さのさの残る容姿です。
彼女の容姿は成長しない可能性も捨てきれませんけど、朱里などと違い実年齢によるものと見ていいでしょう。
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