第116話 劉協
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の地位は失います。重臣とはそういうものです」
「正宗様、私も揚羽様の言葉に同意します。皇帝陛下の元へ同行する者は揚羽殿が適任かと思います」
知性派の二人に凄まれると説得力があります。
「わかった。気を引き締めことにあたることする。揚羽は私と同行してくれ」
「かしこまりました」
揚羽は私に頷きました。
「揚羽さん、正宗様のこと頼みましたわよ」
「揚羽、私が気をつけることは何かあるか?」
私は揚羽に皇帝陛下への対応方法を念のために聞いておきました。
「皇帝陛下の言葉には全て従えばよろしいです」
「それだけか」
「はい。それしかありません。密議なれば約束は機会があればいつでも反古しようがあります」
明け方まで会議を行なった私達は一先ず解散し仮眠を取った後、各自の仕事に戻ることにしました。
その日の日中は何もするべもなく屋敷で久方振りの休暇を満喫しました。
そして、その時がやってきました。
夜になり虫の鳴き声も聞こえなくなった丑三つ時、屋敷に皇帝の使者を名乗る者が現れました。
その使者は勅書を携えていました。
勅書の内容を確認すると皇帝の玉璽がしっかりと押され、武具の携帯を許可しない旨が書かれていました。
武器を携帯できないことに懸念を抱きました。
しかし、皇帝陛下のもとに参内する以上、武具の携帯は許されるわけがありません。
わざわざ勅書に明示しておく小憎たらしさを感じました。
張譲が偽勅を発給したとも取れなくもないですが、ここは勅書の内容に従うしかありません。
私と揚羽は用意された馬車に乗り、皇帝陛下の元に向いました。
馬車に揺られ半刻(一時間)ほど時間が経過したとき、馬車は走るのを止めました。
「劉将軍、到着いたしました。お降りください」
使者が私に呼びかけてきました。
私と揚羽は使者に促され場所を降りると、その光景に違和感を覚えました。
こんな場所は初めて来ました。
「ここは?」
私はつい疑問を口にしてしまいました。
「劉将軍、禁中にございます」
声の聞こえる方向に視線を送ると張譲が私達の方へ歩いて近づいてきました。
「禁中だと!」
私は張譲の声に驚きました。
揚羽も驚いている様子ですが、冷静な表情をしています。
「劉将軍、驚かれるのも無理からぬこと。しかし、要件が要件故に人目を憚らなければいかず、禁中にお招きした次第です。皇帝陛下の許可は既に得ております。皇帝陛下がお待ち故、私に着いてきてくださらぬか」
張譲は揚羽に視線を一度送るが何も無かったように背を向け歩き出しました。
私は揚羽に目配せをして、張譲の後を追いました。
皇帝陛下の生活の場である禁中に家臣である私を招くなど余程の事態で
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