第二章
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「情熱を取り戻すわよ」
「そうするのね。それじゃあね」
「何かいい考えがあるのかしら」
「今度の休暇旅行に行ってきたらどうかしら」
微笑んでだ。マネージャーは私に顔を向けて言ってきた。
「私も一緒に行くわよ」
「旅行ね。何処がいいかしら」
「そうね。日本はどうかしら」
私達はフランスに生まれてフランスに育っている。世界のファッション、いやその他のあらゆることにおいて流行を作っているという自信がある。フランスは文化ではどの国にも負けていない。
その自負もあって色々とやってきた。その私にだ。
マネージャーはくすりと笑ってだ。こう言ってきたのだ。
「あの国ね」
「日本、ね」
「日本のことは知ってるわよね」
「ええ。アジアの国よね」
「そう。独特の文化を持つ国よ」
「世界で屈指の経済大国でもある」
私はとりあえず日本についての知識も出した。
「その国ね」
「日本には行ったことなかったでしょ」
「ええ、ないわ」
「だから。そこで勉強も兼ねてね」
「そうね。新しい発見があるかもね」
「日本は。何処の国にもない独自の文化があるわ」
それは私から見れば本当に不思議な文化だ。まるで全く違う世界にある様な。その文化のことも言われてだ。私は考える顔になってだ。
それからだ。マネージャーにこう答えた、
「それじゃあわかったわ」
「日本に行くのね」
「ええ、そうするわ」
私は彼女の提案に頷いた。そうしてその彼女と共に空から日本に向かった。行く先は彼女に紹介された日本の古都、二つの都だ。
奈良、その古い町に来て見るものは多かった。町に普通にいる鹿達を最初に見た。
私は人と親しんでいるというよりは自分達が町の主だと言わんばかりの態度で緑の絨毯の上に寝そべり我が物顔で闊歩している彼等を見てだ。マネージャーに尋ねた。
「日本では鹿は人間より偉いのかしら」
「流石にそれはないと思うけれど」
「それでも。随分と態度が大きいわね」
本当にそう思った。鹿達の態度は実に偉そうだ。
しかもよく見れば子供達の弁当を狙っているしその辺りに落ちている雑誌も食べている。クッキーみたいなお菓子を貰っているがそれもむしゃむしゃと食べながらだ。
そのうえで観光客、私達みたいな人間の服の端を噛んでしきりに催促をしている。そうした倣岸不遜なまでの態度を見ながらだ。私は彼女に問うたのだ。
「こんなのが普通にいる国なのかしら」
「この町だけよ。この奈良のね」
「そうなの。流石に日本中ではないのね」
「この鹿達は神様の使いらしいわ」
「キリスト教の神ではないわね」
「日本のね。何百万といる神様のうちの一つのね」
「そうなの。この国のなの」
日本に神が多くいることは知っていた。これも日本独自のことだということ
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