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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第二話「紅い髪の少女との出会い」
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院のもののようだが、君はそこの?」


「ええ、そうよ」


「そうか」


 少女――クレアの着ている制服は純白を基調に黒のラインをあしらったものだ。胸元にはリボン帯が結ばれ、ボタン代わりに精霊護符が縫いつけられている。


 炎のように紅い髪は黒のリボンで左右に括り、俗にいうツインテールの髪型だ。あまり拭う時間が無かったためか、髪先はまだ濡れていた。


「ふむ。つかぬ事を聞くが、クレアはなぜここに? どうやらここは元素精霊界のようだが」


「それはあたしのセリフでもあるんだけど。迷ったって言ってたわね、なんで男のアンタが元素精霊界に迷うのよ」


「それは俺が聞きたい。なぜかここに居たのだから、仕方ないとしか言いようがないな」


 聞くところによると、この森は《精霊の森》といってアレイシア精霊学院の敷地内にある。清らかな姫巫女しか入ることのない敷地に男がいるのだから疑問に思うのも当然のことだろう。


 場合によっては変質者として間違われても仕方がないのだ。


「……ふーん、まあいいわ。なんであたしがここに居るかって話よね。説明するから取り合えず歩くわよ。目的の場所は近いんだから」


「ああ、わかった」


 クレアに先導される形で森の中を歩く。その足取りは迷いが無く、クレアの言う目的地というのを把握している証拠だろう。


 目的地というと、やはりアレか?


 湧き上がる疑問を頭の片隅に放置しているとクレアが唐突に語り出した。


「あたしがここに来た理由は強い契約精霊がいるって噂を聞いたからよ。この先に祠があるんだけど、古代の聖剣が祭ってあるの。噂では強大な《封印精霊》を宿しているって話だけど、学園創立以来、誰一人として契約に成功した姫巫女はいないわ」


 随分、気位の高い精霊みたい、と言葉を続ける彼女の後ろで、俺は人知れずため息を零した。


 やはり、これはエストイベントか。カミトは何処に行ったんだ!


 本来ならクレアと遭遇するのは迷い込んだカミトであって、俺ではない。その封印精霊と契約を交わすのも原作ではカミトなのだ。


 なにがどうなってるんだか……。


「さっき湖にいたのは禊をしていたのよ。ここが一番聖性が高かったから」


「なるほど」


 クレアは後ろ手に振り返り、俺の顔を覗き込んだ。


「そういうリシャルトはどこかに向かってたのよね? どこに行こうとしていたの?」


「うむ、婆さんに喚ばれてな。手紙では一言来いとしか書かれていなかったんだ。もう少し詳しく書いてくれれば良いものの……」


 まあ、あの婆さんだしなと言葉を濁す俺にクレアがクスッと笑った。


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