第二幕その一
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ないけれど。これはどうにかならないかな」
「それじゃあお安くしときますよ」
「どの位だい?」
そこを問うと返答はこうだった。
「半分でどうでしょうか」
「半分か」
「ついでにそこにあるパイプもつけて」
「気前がいいね」
「そのパイプもいい加減かなり古いですからね。よかったらどうぞ」
「そっちのパイプはそれ程悪くはなさそうだけれど」
「まあよかったらどうぞ。そっちのパイプと合わせて元の額で」
「よし」
交渉成立であった。ショナールはコインを一枚渡した。
コルリーネは色々と本を買っていた。その中の一冊にやけに注目していた。
「よくこんなものがあったね」
「掘り出しものですよ」
いささか胡散臭そうな親父がこれまた怪しい笑みを浮かべて言う。
「他には滅多にないかと」
「というよりはじめて見たよ」
その声はややうわずっていた。
「こんな本。よくあったね」
「ですから掘り出しものなのですよ」
入手ルートすらはっきりしないようだ。
「おわかりでしょうか」
「そんなものかな」
あまりいいとは言えない口車であったがコルリーネは世事に疎いのかそれに乗っているようであった。
「はい、ここでしか手に入らないでしょうね」
「ふん」
「今ならお安くしときますよ」
「わかった、それじゃあ買おう」
「毎度あり」
そしてまんまと買わされてしまった。だが買ったコルリーネは上機嫌であった。
ロドルフォはこの時ミミと一緒だった。そして帽子屋の前で二人でいた。
「どれでも好きなの買っていいよ」
彼は優しい声でミミにそう語っていた。
「どれでもいいの?」
「うん、君だったら何でも似合うけれど」
「嫌だわ、そんな」
その言葉には恥ずかしそうにする。
「お世辞だなんて」
「お世辞なんかじゃないよ」
ロドルフォはのろけて言った。
「本当のことさ」
「もう」
二人は完全に恋人同士になっていた。そして帽子屋の前で仲睦まじく話に興じていた。
残るマルチェッロは店と店の間をウロウロとしていた。そして品物と通り行く女の子達を物色していた。
「トゥループラムは如何」
「僕のトゥループラムは何処かな」
そう言いながら女の子達を見ている。
「別嬪さん達にお花を」
「若しくは花を」
そう言いながら見回していた。そこにコルリーネがやって来る。
「おうマルチェッロ」
「何だ、君か」
コルリーネの方を振り向いて残念そうな顔をする。
「何だはないだろ」
「男に声をかけられてもな」
「男にもてるだけましと思うんだね」
「生憎僕にはそんな趣味はなくてね。それにしても機嫌がいいね」
「ああ、掘り出し物の本を見つけてね」
「掘り出し物!?」
「そうさ」
彼はにこやかに返した。
「物
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