暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
運命の鎌
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……」

「!?」
 
アスナも息を飲んで体をこわばらせる。その間にも、死神は徐々に空中を移動し、二人に近づいてくる。

「俺が時間を稼ぐから、早く逃げろ!!」

「き、キリトくんも、一緒に……」

「レンもいるから大丈夫だ! 早く……!!」

「ナチュラルに残るって決め付けないでよねー」

こんな緊迫した場面でも、相も変わらずのんびりとした声をかけてくるレンを頼もしいと感じるかはきっと人それぞれだろう。

最終的離脱手段である転移結晶も、万能の道具ではない。クリスタルを握り、転移先を指定してから実際にテレポートが完了するまで、数秒間のタイムラグが発生する。その間にモンスターの攻撃を受けると転移がキャンセルされてしまうのだ。

パーティーの統制が崩壊し、勝手な離脱をするものが現れるとテレポートの時間すら稼げず死者が出てしまうのはそういう理由による。
 
アスナは迷った。

四人が先に転移してからでも、キリトの脚力をもってすれば、ボスに追いつかれることなく安全エリアまで到達できるかもしれない。

しかし先程のボスの突進速度はすさまじいものだった。もし──先に脱出して、そのあと、彼が現れなかったら──。それだけは耐えられない。
 
アスナはちらりと後ろを振り返った。こちらを見つめるユイと視線が合った。

ごめんね、ユイちゃん。ずっと一緒だって言ったのにね…………
 
心の中でつぶやき、アスナは叫んだ。

「ユリエールさん、ユイを頼みます! 三人で脱出してください!」

凍りついた表情でユリエールが首を振る。

「だめよ……そんな……」

「はやく!!」

その時だった。

ゆっくりと鎌を振りかぶった死神が、ローブから瘴気を撒き散らしながら恐ろしい勢いで突進を開始した。
 
キリトが両手の剣を十字に構え、アスナの前に仁王立ちになった。

アスナは必死にその背中に抱きつき、右手の剣をキリトの二刀に合わせた。死神は、三本の剣を意に介さず、大鎌を二人の頭上めがけて叩き降ろしてきた。
 
赤い閃光。爆音。
 
だが、いつまで待っても、衝撃はやってこなかった。

「………………?」

恐る恐る眼を開けてみると、アスナ達の眼前には鎌を上空に跳ね上げられ、固まっている死神の姿があった。

そして、聞き慣れた不思議と心の奥底まで侵入してくるような幼い声。

「アスナねーちゃん、何で小難しいことを考えてるの?要は──」

こちらに背中を見せている分、血色のコートを羽織った少年の表情はまるで見えないが、それでもアスナ──おそらくキリトも、少年、レンの全身から炎のような殺気がにじみ出たのを見たような気がした。

「こいつをぶっ倒しゃあいいんでしょ?」

ゴッ!
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