暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
運命の鎌
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ている。

ハッとして、振り向いた瞬間、ズバンという音と言う名の衝撃がアスナの栗色の髪をはためかした。

瞬間移動にも等しい猛ダッシュの後、レンは走るユリエールの襟首を右手でひっ捕まえると、左手を閃かした。瞬きをする間もなく、空中にワイヤーが展開され、右側の通路から出てくるべきモンスターを攻撃するために、その鋭い牙を剥く。

この時、レンとモンスターの間には通路の壁があったのだが、それすらもレンのワイヤーはバターのように切り裂いていく。

基本的に、通路などは破壊不能オブジェクトなのだが、レンの左手を中心に渦巻いている禍々しい《過剰光(オーバーレイ)》を見たら納得する。

「さすがだな。腐っても《六王》だな」

だが、自分自身も《六王》の一員だと言うことを完璧に忘れているキリトも素直に評価する、レンのその致死の攻撃は残念ながら空を切った。

対象のボスは、レンの攻撃に気付いたかのような素早さを見せ、ごおおおおおおおおおっと地響きを立てて反対側の通路に横切っていった。

通る時に一瞬、黒い影が見えたような気がしたが、全体像までは解からなかった。

黄色いカーソルは、左の通路に飛び込むと十メートルほど移動してから停止した。ゆっくりと向きを変え、再び突進してくる気配。
 
レンはユリエールの体を離すと、ワイヤーを回収し、左の通路に飛び込んでいった。アスナとキリトも慌ててその後を追う。
 
呆然と倒れるユリエールを抱え起こし、そのまま交差点の向こうへと押しやる。

マイとユイも腕から降ろし、安全エリア側に進ませると、アスナは細剣を抜いて左方向へと向き直った。

両腕をだらんと力なく垂れ下げて、臨戦態勢なレンの小柄な背中が目に入る。

その向こうに浮いているのは───身長2メートル半はあろうかという、ぼろぼろの黒いローブをまとった骸骨だった。

フードの奥と、袖口からのぞく太い骨は濡れたような深紅に光っている。

暗く穿たれた眼窩には、そこだけは生々しい、血管の浮いた眼球がはまり、ぎょろりと二人を見下ろしている。右手に握るのは長大な黒い鎌だ。

凶悪に湾曲した、鈍く光る刃からは、ぽたりぽたりと粘っこい赤い雫が垂れ落ちている。いわゆる死神の姿そのものである。
 
死神の眼球がぐるりと動き、まっすぐにアスナを見た。

その途端純粋な恐怖に心臓を鷲掴みにされたような悪寒が全身を貫く。
 
でも、レベル的にはたいしたことないはず。
 
そう思って細剣を構えなおしたとき、横に立つキリトがかすれた声で言った。

「アスナ、いますぐ他の三人を連れて安全エリアに入って、クリスタルで脱出しろ」

「え……?」

「こいつ、やばい。俺の識別スキルでもデータがわからない。強さ的には90層クラスだ
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