第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第12話:俺は正義の味方ではない!
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人質も偽者なんだから、こっちの身代金も偽物で十分だ」
「そ、そんなことしてバレたら彼女が殺されちゃうかもしれないでしょ!」
軽く食事を済ませ、再度眠りに入ろうとするリュカ…
慌ててリュカの意見に反論する私。
「そ、そんな!? ど、どうかリュカ様…メイを助ける為、黄金の腕輪を手に入れて下さいませ! 彼女は私の婚約者なんです…愛してるんです!」
私が言った“殺されちゃう”と言う言葉に、酷く反応した偽クリフトのノルテンさん…
布団を被り横になったリュカを揺すり懇願する…その時リュカが被っていた布団がずり落ち、彼の裸が晒された。
「何だよ! お前には男の裸を観賞する趣味があるのか? 布団返せ! 僕はまだ眠いんだ」
リュカは慌てて体を布団で隠した。
筋肉が凄いのは分かっていたが、実際に見るとその凄さで声も出ない…
しかし何より驚かされたのは、体中に付いた夥しい古傷の多さだ!
一体どんな人生を送れば、あれ程体中傷だらけになるのだろうか?
リュカの強さの秘密は、あの傷の多さに隠されているのだろう…
リュカは傷を隠す様に布団にくるまり、私達に背を向けたまま話し出す。
「兎に角僕はまだ眠い…起きたら方法を考えてやるから、それまで大人しく待ってろよ! 大体僕は正義の味方じゃないんだ…何でそんな苦労をしなきゃならないんだ?」
「な、何よ! じゃぁもう頼らないわよ! 私は正義の味方だから、全力で彼女を助けるの!」
“大体僕は正義の味方じゃない”その一言にカチンときた私は、大声でリュカを怒鳴り部屋を出てきてしまった。
「アリーナ様…どうしましょうか?」
クリフト(本物)が不安気に聞いてくる。
「どうもこうも…私達だけで洞窟に行って、黄金の腕輪を手に入れるしかないでしょう…」
最大の戦力が居なくなる事に不安を隠せないクリフト…
黄金の腕輪が封印されている洞窟となれば、モンスターの強さも桁違いだろう…
だけど悪者から女性を助ける為には、私達が頑張らなければならない!
「に、偽者二人も少しは戦闘が出来るんでしょ!? 貴方達の身内を助ける為に手伝うんだから、私達と一緒に洞窟へ来なさいよ!」
頼りにならないリュカへの苛立ちと、リュカに依存しているクリフトへの情けなさが合わさり、キツイ口調で偽者二人に当たってしまう。
二人も顔を青くしながら頷き、洞窟行きを決意してくれる。
「じゃぁ早速出発よ!」
タイムリミットは明日の深夜…
少しでも時間が惜しい私は、新たに加わった仲間と共にフレノール南の洞窟へと出発した。
何としても彼女を助けなければならない…
リュカの意見を無視した私には、彼女を助ける事で正しさを証明出来るのだ。
私が強さを求める理由が、弱い者を助ける為である事だから!
アリー
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