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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
プロローグ
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り話が進まないのでな」


 取りあえず座りなさいと勧められると、いつの間にか後ろに椅子があった。爺さんが出したのか?


「さて、お主が死んだ理由じゃが、お主はお主自身に殺されたのじゃ」


「俺自身に殺されるってどういうことなんだ?」


「うむ。簡単に言うとな、お主は生まれつき存在が強すぎたのじゃ。強すぎる存在感はやがて世界を侵食し、崩壊に至る。水が高い場所から低い場所へ流れるように、弱い存在はより強い存在に侵食されるのが世界の理じゃ。それがお主も記憶している、あの地震と隕石の群れじゃ。だから、お主自身に殺されたというわけじゃよ」


 俺の存在感とやらが強すぎたせいで世界が崩壊した。結果、俺も死んだ? それじゃあ、世界が崩壊したのは俺のせいなのか……?


 青い顔で震える手を抑えていると、爺さんは優しく微笑んだ。


「安心せい。お主のせいではない。それに世界は崩壊しとらん」


「……は? えっ? だって――?」


「ちゃんと説明するから落ち着かんか。お主の存在感が強すぎたことで世界が崩壊した、ここまでは良いな?」


 コクコク頷く。


「お主が死んだことで、崩壊していた世界は元に戻ったのじゃよ。――お主が生まれる前の世界にな」


 え、どういうことだ……? 俺が死ぬことで世界が元に戻った? それも、俺が生まれる前まで遡ってだと? ということは、


「――俺が、生まれなかった世界になった?」


「……そう。お主が生きていたことで本来あるべきはずの世界は形を変えた。故に、お主が死んだことで、あるべきはずの本来の世界の形になったのじゃ。世界が巻戻ることによって。お主にとっては残酷な話じゃがな……」


「そうか……」


 爺さんは申し訳なさそうにしていたが、逆に俺は安堵していた。俺が原因で親しい奴らが死ぬのは御免だからな。世界が巻戻ったということはあいつらは無事に過ごせているはずだ。俺という人間を忘れ去られたのは寂しいがな。


「俺が死んだ理由は理解できた。今一つ存在感が強いというのは実感がわかないけど」


 別段、俺自身は今まで普通に過ごしていたし、特に変なこともなかったしな。


「ふむ、それについては簡単に証明できる。お主は生まれつき常人を遥かに超える身体能力と治癒力を有していたな。さらには生まれつき魔力も持ち、誰に教わるわけでもなく独自で魔術を編み出した。常人には到底あり得ぬことじゃて」


 え? 運動神経はみんな低いなとは思っていたけど、俺が高かったのか? それに魔力って誰でも持っているものじゃないのか? 魔術書を読めば簡単にとは言わないけど編み出せるものだろ。


「……いや、普通の人間にはまず
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