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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
プロローグ
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空からは無数の隕石が接近している。まさに天変地異。


 ようやく再起動した人々はそれまで以上の混乱を見せ、悲鳴を零した。その悲鳴を聞きながら、俺はふと思いつく。


 以前からテレビで騒いでいた地球崩壊の話。その時は胡散臭いや、ありえないなどの印象を受け早々にチャンネルを変えたが、まさに今がその時ではないだろうか……?


 もし本当に今日が地球崩壊の日なら、どこに逃げても意味はない。


 俺は渇いた笑みを張り付けながら、呆然と近づいてくる隕石を眺めた。


「……地球崩壊とか、ないわー」


 最後に覚えていたのは、身長を覆い隠す程の大きさを持つ隕石がまさに俺を押し潰さんと迫る、その姿だった。





   †                    †                    †





「――ここは……?」


 目が覚めればそこは、知らない天井――もとい、知らない空間だった。


 辺り一面真っ白。地平線の果てまで続く白い空間には何もなく、あるのは白い地面と、白い空だけだ。


「……夢?」


 夢ならこの不思議空間も納得できる。なら、あの地球崩壊も夢なのかもしれない。


 思わず安堵の息が出たが、それは背後から聞こえた声に否定された。


「残念ながら、夢ではないのう」


 振り返ると、そこには白髭を生やした爺さんの姿が。俺より頭一つ分ほど高い長身に、髭と同じく白い髪。モサッとした顎髭を生やしたその出で立ちは、杖とローブを纏っていたらどこぞの老魔法使いに見える。


「あんたは?」


「儂はゼウス。お主たちの言うところの神じゃよ」


「……は?」


 ゼウス? ゼウスって言ったらギリシャ神話に出てくる最高神じゃねえか! なにこの人、認知症か?


「失礼な奴じゃのう、その最高神で合っておるぞ。死したお主の魂をこの場所へ連れてきたのじゃ」


「は? なに言ってんのアンタ。死したって、誰が?」


「じゃから、お主が」


「……なんで?」


「覚えておらんか? お主、隕石に押し潰されたのじゃよ。もはや原型を留めぬほどにぐちゃぐちゃでの。見るか?」


「…………いや、いい」


 隕石に押し潰された。ということは、やっぱりあれは夢でもなんでもなく……?


「――なあ、俺は本当に死んだのか? あれは夢じゃなく、現実?」


「認めたくないのは分かるが、あれは紛れも無い現実じゃ。お主はお主自身に殺されたんじゃよ」


 俺に、殺された?


「どういうことだ?」


「うむ、それについてキチンと説明しよう。それを説明せん限
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