第二十三話『転校生』
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「ストライクが……動かない」
「ああ」
千冬は深く頷き、スウェンにひびが入り、色がくすんだ黒の腕輪。待機状態のストライクを手渡された。
「一度ドイツに送って修復するにしても、2ヶ月……最悪でも4ヶ月はかかる可能性がある」
「4ヶ月……」
ドイツに送れば、ストライクは修復出来る。だが、4ヶ月という時間はスウェンにとっては長いものだ。スウェンはそれでもと言おうとしたとき、廊下からバタバタと足音が聞こえ、保健室の前で止まり
「ちぃぃちゃぁぁんっ!!!!」
扉が開いた瞬間、千冬に向かって満面の笑みで飛び込んで来た束。そのまま千冬に頭を掴まれ
「何をしに来た」
明らかに人の頭から発せられるはずの無い音がギリギリと響く。スウェンは「悶絶ものだな」と若干顔を引きつらせてその様子を見ていた。
「相変わらず容赦ないアイアンクロー! それでも束さんは耐えてみせ「ならば耐えてみろ」ぐにゅにゅにゅ……」
更に腕に力をこめた千冬は、そのまま束を床に押さえつけた。だが束は直ぐに立ち上がり
「やーやー、改めてやっほー♪ 久しぶりだね〜ちーちゃん」
「全く、どうやって入ってきたんだが……先程も聞いたが、何をしに来た?」
「う〜ん、残念だけど今日用があるのはちーちゃんじゃなくてス−くんなんだよね」
「何?」
走りながらベッドの反対方向へ行き
「スーくん良い男の子になったね〜! もう、束さんが食べちゃいたいくらい!」
「……用件はなんだ?」
「つれないねースーくんは〜。でもそんな所が素敵!」
身体をくねくねさせながら言う束に、スウェンは身体を起こし、呆れ返り言葉を発しようとしたが、人差し指で口元を押さえ
「わかってる、わかってる。今ストライクが大変な状況なんでしょう? スーくんはどうするのかなー?」
「何故それを知ってるかは知らないが……一度ドイツへ送り、修復作業をしてもらう。最悪4ヶ月かかるらしいがな」
「ほうほう! 確かにそれだと確実に直るね〜時間掛かるけど」
「う〜ん」と顎に手を沿え、暫し考える。そして胸に手を当て
「ねーね、スーくん、束さんにストライク任せてみない?」
「お前に?」
「そう! この天才的束さんなら、4ヶ月どころか一ヶ月! いや! 今日から一週間以内に直して見せるよ」
「!?」
束の言葉にスウェンは唖然とする。すると千冬が
「カルバヤン、束はこのような奴だが、腕は確かだ。一週間以内で直す事も造作もないだろう」
「……」
右手に持ったストライクを見つめ、束の方を向き
「……わかった、お前に任せてみよ
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