プロローグ〜に当たるなにか その2〜
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してくれ』
『ザフィーラもみんなも、お疲れ様。すぐに手当てするね』
足元に、シャマルの魔力光である翡翠色の魔方陣が展開する。
遠くから、彼女達が何かをいっているような気もするが、もう耳には届かない。
転移される瞬間、瞼を閉じると、幻聴だろうか。あの男のデバイスの音声が聞こえた気がした。
× ×
『魔力反応、識別完了。魔力質、解析完了。空間転移後、素体の再構築を開始します』
『虹棺への素体の収納完了、戦闘データの統計と処理を開始します。音声データ解析、目標の呼称名を自動識別…………完了』
肉の塊から、デバイスが状況の報告を終える。
頭と腹のない死体は、背にしたコンクリートの地面にゆっくりと飲み込まれていく。無機物を介した空間転移、デバイスが行っているのはその一種だ。
行き着いたのは、彼がここへ来るために使用した棺の中。今は隔離空間に収納されているた、め誰かに感付かれる事も無い。その中で、かれの肉は数分経たずに再構築され、元通りの成人男性の肉体を取り戻していた。
「上手く撒いたか…………どうやら世界はまた一新と進化しているようだな。前回俺が目覚めてから何年経過している?」
『検索中…………約200年経過しています。……追加情報あり。現在より約十一年前に、別次元世界にて夜天の書の起動が確認されています。ですが、素体の起動までの期間に停止しています』
「なるほどな……この世界の『オベリスクの楔』は機能しているか?」
『超弩級が三本稼働中、うち二本は機能40%以下に低下しています。追加で「楔」を飛ばしますか?』
「そうだな……過去の地表の形状から多少は変化が起きている筈だ。……海中に特大級を2000km単位で設置、地表に1000km単位で設置、各機にステルスを掛けておけ。地形の識別と、後は文明レベルの解析もしておけ。この世界、しばらく基点になりそうだ」
『文明の解析に関しては既に実行中です。おそらく十二時間ほどで終了できると思われます』
「重畳重畳。では後は任せる」
『了解』
瞼を閉じると、そこに映るのは今日の戦闘の光景、そして過去の自身の記憶。
そして、目視するだけでも判別できるほどに、夜天の書には変化があった。明らかな悪意ある改変。男は、自分の性能の未完成さに焦燥のようなものを感じた。
自分の本来の役目を全うすら出来ない事への、苛立ちとも取れた。
「……次元世界の数は、200年前よりも増加しているか?」
『はい、それは確実です。稼動初期に設置した「楔」との相互反応から、次元世界はほぼ無限に断裂・分裂を繰り返し、現在では測定不能数まで増殖しています。他世界へも「楔」を飛ばしますか?』
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