プロローグ〜に当たるなにか その2〜
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ハッとして、首だけ背後に振り返った。
そこには。両の拳に魔力を練りこんだ、守護獣の姿があった。
「でぇぇぇぇええいいやぁぁぁああああああああッッッ!!!!!!!」
ズドンッッッ!!! と、ザフィーラの左拳が男の障壁を打った。
直後、男の障壁に罅が入った。どうやら、防御の限界が来たようだ。
ザフィーラの咆哮と、ヴィータの叫びが重なる。アイゼンはブースターを限界まで噴射、ザフィーラは最後の右拳を叩き込んだ。そうしてようやく、男の障壁は粉々に破壊された。しかし、二人の攻撃はとまらない。
ザフィーラの拳は男の右頬を、アイゼンは男の鳩尾を捉え打ち抜き、それぞれの部位を“粉々に吹き飛ばした”。
飛び散る血肉など気にも留めず、二人はすれ違うように行き交い、“バラバラの肉”は地上へと放り投げられる。
同時に、シグナムの首を“もごうと”していた腕は力を失い、ちゃんと斬り落とされたただの腕へと戻っていた。彼女はソレを投げ捨てると、一息つく暇も無く二人の下へと駆け寄っていく。三者三様、息も絶え絶えの満身創痍といったところか。
下へ落ちていった男は戻っては来ない。当然か。いくら再生するといっても、基幹である『脳』を破壊されては、流石のどんな生物だろうと死なない訳は無い。
「……すまない、不意を突かれた」
「問題ない。元より、アレは“仕留めねば”ならぬ者だったのだろう。ヴィータがここまで徹底するところなど、そうは無い。違うか?」
「………関係ねーよ。アレはたぶん、あたしらみたいなプログラムでも、まして人間でもない。もっと違う化け物だと思う……だから殺そうと思っただけだ。アレはたぶん、放っといたらなにもかも壊すようなヤツだ」
「おそらく、死体はあとで管理局が回収する筈だ。その後の検証を経れば、我々の弁明も多少は利く筈だ」
シグナムは、遠方に萎縮したままの二人の少女を見る。
生で人が死ぬ瞬間、そんなものはおそらく初めてだったろうに。二人の少女は、ただ動けずにいるだけだった。
この映像は、おそらく記録されている筈だ。あの男を殺した瞬間も、あの異常事態も。ならば、守護騎士達が犯した罪にも多少は弁明の機会が与えられる筈だ。殺す気で来る者を迎え撃った、彼女達にはただそれだけの事。
それにあの死体には、管理局のものですら目を引く“なにか”があるに違いない。
ソレを調べ終えた後ならば、あれが人間で無いということはすぐに分かる。歴戦の武士である彼女達は、直感であれが人間でないことを理解していた。それをより正確に調査できるなら、尚更良い。
シグナムは少女達に叫んだ。まだ終わっていないから。今度こそは終わらせると、誓うために。
「テスタロッサ! この戦い、預ける!」
『こちらの用件は済んだ。シャマル、転移
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