プロローグ〜に当たるなにか その2〜
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加速と突撃にのみ特化した形態。文字通りの突撃兵。
柄をしっかりと両手で握りこみ、ヴィータはアイゼンを水平に構える。
『Raketen form≪ラケーテンフォーム≫!』
「ラケーテン――――」
彼女の声に応じ、ブースターに火が灯る。轟音が空に響き、突撃の鬨を上げる。
少女は駆けた。爆発音と排煙と火花を撒き散らしながら大きく旋回し、“あそこ”にいる男に向かっていく。
この瞬間だけは、ヴィータは殺す気だった。あんな“化け物”を、もはや人とは見れない。死体の状態から身体を再生し、二人掛かりでも破れぬ超硬度の障壁、果ては身体を切り離して攻撃。そんな奴を倒しきるには、殺すくらいが丁度良い。
目標まで十数メートル、動かぬ的との距離はすぐに詰まった。ブースターの噴射に合わせて身体を右回転、遠心力と推進力の合わせ技による、超破壊力の一撃。少女は叫びながら、その鉄槌をぶち当てた。
「ハァンマァーーーーーーァァァァアアアアッッッ!!!!!!」
ギギギギギギギギギィイイイッッッ!!!!!! という衝撃と不協和音が轟く。
アイゼンのスパイクと、男の障壁は拮抗していた。真正面からヴィータが推してはいるが、男はまったく動じていない。ぎょろりと、その双眸が彼女を捉えているだけ。何もしないし、何もしようとしていない。
――――いいや違う、そうじゃない。ヴィータは悟った。この男は“シグナムしか”見ていない。というよりも、彼女の持つ“闇の書しか見ていない”。
となれば、この男はこのまま行けば行き着く先にあるのは。脳裏に浮かんだのは、たった一人の少女。
高速化する思考の果てに見出したのは、自分の主だった。自分の大切な、家族だった。
「――――ぁぁぁああああああああああっ、アイゼェェェエエンンッッッ!!!!!!、」
『Jawoul≪了解≫!』
ヴィータは叫ぶ。そして、相棒はソレに応えた。
カートリッジをさらに二発。スパイクとブースターに一発分ずつの魔力を注ぎ込む。
さらに振り絞れるだけの魔力を、ありったけアイゼンに注ぎ込む。出来れば殺さないなんて生っちょろいことはもう考えない。殺す。この男は確実に、今、ここで、絶対に殺す、殺さなければならない。
今まで考えたことも無かった。「進んで殺したい」だなんて、ヴィータにとっては初めての感覚だった。
だがヴィータは決断した。この男は、今ここで仕留めなければならない。出来なければ、せめてこの男が行動不能になるまで叩かねばならない。この男は間違いなく、自分の主に害を為す存在となる。家族の和を乱す、災厄となる。やっと得られた平穏を、この男は奪ってしまう。
この男が誰かなどどうでもいい。この男が何なのかなどどうでもいい。今はただ、こいつを殺す。
「ザフィーラッ!」
男は
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