プロローグ〜に当たるなにか その2〜
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、男は全包囲にシールド系障壁を展開していた。
足元には先ほどと同じ六芒星の魔方陣。そして漆黒の魔力光。測定不能の魔力で展開される障壁の硬度は伊達ではないようだ。しかし、これで踏ん切りがついた。ちょうど頃合でもある。
『湖の騎士の進言どおり、撤退が最善では?』
「そーだな……それがいい。シグナ」
己が将の名を呼ぼうとした時、ヴィータは己が目を疑った。
男がいる位置から数十メートル上空、頭上という圧倒的優位に立つ、ある意味最も安全圏にいるはずのシグナムの首に。男の肘から先の腕が。彼女の首を掴んでいた。
「か………ッ、ハ」
苦悶の表情を浮かべるシグナム。その首を掴んで離さない腕は、男のもの。彼女はソレを両手で引き離そうとするものの、まるで首を握り潰さんとする勢いのソレを、早々離すことなど出来なかった。
視線を下に落とせば、音の左腕の肘から先が消えている。その断面からは出血も無く、おそらく魔法か、それともあの男の能力か何かだろう。しかし問題はそこではなく。
一体いつ、どうやって、男はその腕をシグナムに飛ばし、その首を捉えたか。
ヴィータの記憶が正しければ、あの爆発の瞬間にはシグナムには何の異常もなかった。
上空へ離脱したときも、腕が彼女を追尾している様子などは伺えなかった。つまり、この一瞬。
あの男が鋼球を防御し、二人の視線がその中心へ向いた、あの一瞬。その瞬間に、男は腕を切り離し、何らかの方法でシグナムの反応の及ばない位置に腕を飛ばし、瞬時にその首を掴んだに違いない。
ヴィータは、あの腕だけを撃ち落とす事も考えた。しかしこの状況で、そこまでの精密射撃を成功させる自信ははっきり言えば無い。自分が動けば、あの男は間違いなく自分を墜としに来る。そうなっては本末転倒、ならいま自分が為すべきは。
『シャマル、空間転移の用意だ! あたしが合図したら何処でもいい、あたしらを一箇所に転移させろ!』
『ヴィー……ちゃん……したの、通信が回復したと思ったらいきなり! 映像出ないし、状況分からないし、なにがどうなって』
『いいから! 出来んのか出来ないのか!』
『――――んもうっ! ……分かったわ、飛ばせるよう準備は出来てる。ザフィーラもそっちに向かってるし、無茶だけはしないでね!』
あとで謝ろう、ヴィータはそう思った。
あんな“呆けた”彼女も、頼るべき自分の仲間であり、誇るべき友人なのだから。そして、愛すべき家族なのだから。しかし今は、目の前の“アレ”をどうにかする事だけを考えよう。
アイゼンは己が主の意思を察し、カートリッジをロード、その意思に沿う形態へと己が姿を変える。
ハンマーヘッドの一つを、三基のブースターに変形。対の先端には、内部から角錐状のスパイクを突出させる。補助や射撃機能の一切を排除し、
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