プロローグ〜に当たるなにか その2〜
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side-守護騎士
二人の騎士は、上空に突如現れた一人の男を見ていた。
一度“落ちて”しまえば、二度と出られないとされる虚数空間から現れた、巨大な柱と棺。その棺から出てきたのは、死体。しかしそれは実際は生きていて、瞬く間にその身体を再構成していた。今目の前にいるのは、バリアジャケットのインナーのような黒く薄い服を着た、一人の男。
男はキョロキョロと周辺を見回し、一瞬こちらを見たかと思えば、その視線は右へと向いていた。
彼の視線はそちらへと向かい、そちらへ向きを変えると、少し身体を前のめりに傾ける。右腕を左脇に抱えるような、身体を小さく畳んだ右肩を突出させる体勢。そしてシグナム目掛けて、
「…………来る!」
ズドンッ!!! という、空を蹴る爆発音と共に、突貫した。
「シグナムッ!!!」
ヴィータに言われるまでもなく、こう来ることは予測できた。
レヴァンティンはカートリッジを一発ロードし、シグナム自身も魔力を全て防御に回す。
『正体不明』『魔力量測定不能』『謎の魔方陣』……警戒するには十分すぎる判断材料だ。そして男は、瞬く間にシグナムとの距離を詰め、彼女の展開する魔法障壁に愚直に右拳を叩き込んだ。
盛大な爆発音。鞘を前面に押し出したシグナムの防御は、破られることは無かった。
一瞬推されるも、何とかその場で踏ん張りを利かせ留まる。どうやら、馬鹿馬鹿しいまでの攻撃力を有している訳ではなく、素手ならば我々と同じ、人間と同等の力しか有していないとシグナムは見た。実際彼女の障壁は全開ではなく、およそ五割といったところ。コレで耐えられるならば、まだ底は見える。
ならば、その防御もまた然り。その様子を見ていたヴィータは迷わなかった。
「アイゼンッ!」
『|Jawoul≪了解≫!』
カートリッジを一発。ヴィータの眼前には鉄製の鋼球が、左右四対に八球展開される。
アイゼンを右往左往に振るい、全ての鉄球を打ち出すと、それらは自動追尾で男を目掛けて飛翔する。
シグナムもソレを確認すると、肉薄しようとする男の胴へ蹴りを叩き込み、そのまま高速で後退、男と距離をとり、一気に安全圏へと浮上する。否応無く吹き飛ばされる男の背後からは、鉄槌の騎士が放った鋼球。コレは回避できない、そしてその予想の通り鋼球は全て着弾、男は全弾まともに食らってしまった。
その様子を確認すると、二人は即座にカートリッジを装填。次の状況へ備える。
だが今の攻撃に手応えはあった、あの状況ならまともに食らって墜ちている、もしくは撤退している筈だ。
しかし。
その爆煙を振り払ったのは、攻撃を受けたばかりの男だった。
「ちっ、やっぱ障壁が邪魔か……あたしら二人の攻撃受け止めただけはあるみてーだな」
平然と言わんばかりの無表情で
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