第二部
エリカ出陣
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父の言葉に固まった。
「・・・まだ、連絡していないのですか?何故・・・?」
「・・・・・・・・・サルバトーレ卿から、連絡が入った。『鈴蘭たちには連絡しないでね?もししたら・・・斬っちゃうから☆』とな。イタリア全ての魔術結社、及び、魔術結社に属していないフリーの術者や魔女にも全てだ。」
「は・・・?」
さしものエリカも、サルバトーレ・ドニの思考は理解出来なかったらしい。普段の彼女からは想像も出来ない、口を可愛らしくポカンと空けた状態で固まっている。
「・・・た、確か、鈴蘭王と契約していた筈ですわよね?どうして今更、約束を反故にするような事を・・・?そもそも、何故『王の執事』様がそんな横暴を許していらっしゃるの?」
「拉致、監禁されたようで、現在行方不明だ。『王の執事』とは連絡が付かない。」
「・・・何て不憫な人・・・・・・!」
ドニの暴走を止める事が出来る唯一の人間が、行方不明。その上で、鈴蘭王との契約を無視するということは・・・
「さ、最悪の展開が見えますわね・・・。」
「ああ。恐らくサルバトーレ卿は、コレが原因で【伊織魔殺商会】との戦争になっても構わないのだろう・・・。というより、そうなることを望んでいる。」
「確か、三月の戦いでは、【魔眼王】と【聖魔王】の二人としか戦っていないですし・・・狙いは残りの二人ですか・・・。」
「案外、全員と戦うことになっても良いと考えているかもしれん。【魔眼王】とは引き分け、【聖魔王】には敗北しているのだ。それと同等の力を持つと言われる残りの二人や、配下に存在が確認された『アウター』なる者たち。サルバトーレ卿にしてみれば、【伊織魔殺商会】は最高級のご馳走の山だ。何時までもお預けされたままで我慢出来る訳がない。」
二人揃って頭を抱え、深く溜息を吐く。今すぐ鈴蘭王たちを呼べれば、サルデーニャ島の被害は最小限で抑えられるのだ。どうやら彼女たちは、隔離世・・・つまりアストラル界に、対象を強制的に引きずり込む権能(?)を持っているらしい。
アストラル界は、現世とは切り離された時空だ。そこでなら、いくら暴れようとも現世に影響は一切出ない。正直、サルバトーレ卿に暴れられるよりも、全て【伊織魔殺商会】に任せたいとさえ思っているのだ。報酬はかなり高いらしいが、カンピオーネとまつろわぬ神との闘争で街が破壊されるよりはよほどマシだ。避難誘導も街の復興作業も、犠牲になった親族への保障もしなくて済むのだから、後始末をする側としてはこれ程嬉しい事はない。
・・・が、サルバトーレ卿が彼女たちに連絡することを禁止したのなら、従わなくてはならない。魔王に逆らえば、待っているのは死のみ。自分の命だけで済むのならいいが、周りまで破壊されて
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