第二部
エリカ出陣
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買うつもりかしら?)
一瞬浮かんだこの恐ろしい考えを、彼女は即座に頭から追い出した。カンピオーネという肩書きと、十分な資金さえあれば、あの【聖魔王】ならば裏から世界を操ることくらいは簡単に出来そうだったからである。
彼女の権能は、歴史上類を見ないほど特殊であり、希少だ。今ですら、裏の人間にとって彼女はなくてはならない存在になってしまった。なんと、アメリカのカンピオーネである『ジョン・プルートー・スミス』や、イギリスのカンピオーネ『黒王子アレク』などとも商売を通じて交流があるらしいのだ。
しかも、この二人とは、既にこのチラシに書いてある契約をしているらしい。つまり、自分たちが別の案件に手を取られてまつろわぬ神との戦いが出来ない場合に、【伊織魔殺商会】が代わりに戦ってくれるというものだ。
ジョン・プルートー・スミスは、アメリカ全土を守護している。邪術師という敵もいる中で、広大なその土地全てを管理仕切ることは不可能だ。黒王子アレクは、自身のライフワークである研究を行うために、常に世界中を飛び回っているため、イギリスに居ない事が多い。この二人にとって、【聖魔王】のこの事業は願ってもないことだったろう。
更に、今はまだ裏の世界にしか流通させていないが、『ミスリル』や『オリハルコン』などといった伝説の素材を、『新素材』などと言って表の科学社会に持ち出されたら、大変な事になる。間違いなく技術限界点突破が起こり、人類は新たな時代へと突入するだろう。
オマケに、カンピオーネは長命だ。歴史上、寿命で死んだカンピオーネは存在しないため、どれくらい生きるのかは分からないが、少なくともヴォバン侯爵が現在まで三百年生きている。
富、名声、力、そして長大な命。人類の永久の夢であるそれら全てを手に入れた彼女は、世界の真の王となるのではないか・・・。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
(か、考えすぎね・・・)
単に金儲けが好きなだけかもしれないと思い直したエリカは、叔父の姿を見つめた。
「それで、一体何を悩んでいるんですか?確か【聖魔王】様たちは今、世界を思うがままに旅しているそうですが・・・もしかして、連絡が付かないのですか?」
そんな馬鹿な・・・とは思う。
こんな事業を始めるくらいなのだから、キチンと連絡手段を確保した上で旅行しているはずだ。特に、あの船には四人のカンピオーネの他に、プリンセス・アリスなどという超VIPまで乗っているのだから、組織と連絡が取れないなどという事態になれば、必ずコチラにも情報が来るはずである。
「・・・いや、連絡は付く・・・筈だ。恐くな。」
エリカは、予想もしていなかった叔
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