第二部
エリカ出陣
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『神様にお困りではありませんか!?』
イタリアの名門魔術結社【赤銅黒十字】の総帥であるパオロ・ブランデッリは、一枚のチラシを手に溜息を吐いた。その顔には疲れが見えており、最高の騎士としての威厳は見えない。
「叔父様、イタリアの件ですが・・・。」
彼の前の席に座っていた女性が話しかける。流れるような美しい金髪、ただ座っているだけなのに溢れ出る才気。煌くようなその美貌は、百人が見たら百人が美しいと言うだろう。彼女こそは、【赤銅黒十字】が誇る天才、エリカ・ブランデッリである。
「南米にいるサルバトーレ卿には既に連絡してある・・・が、現場に着くのは数日かかるようだ。」
「・・・よりにもよって、サルバトーレ卿が留守にしている時にまつろわぬ神が出現するなんて。なんと運のない・・・。」
一瞬暗い顔をするエリカだったが、直ぐに顔を引き締めて、
「こうなったら、その最終手段に頼るしかないですわね。叔父様も、そう思ったからそのチラシを取り出したのでしょう?」
まつろわぬ神襲来。この非常事態に対応出来るサルバトーレ・ドニが不在だというのに、エリカが取り乱さないのには理由があった。
それが、このチラシである。
『まつろわぬ神や神獣が現れた!でも、頼りになるカンピオーネはこの地域には居ない、もしくは留守にしているという状況に陥った事はありませんか?
そんなときは【伊織魔殺商会】へご連絡下さい!何時でも何処へでも、貴方のために颯爽登場!私たちの結社の四人のカンピオーネが直ぐに駆けつけます!
お値段は、事件解決後に難易度によって上下します。分割払いやローン払いもOK!【伊織魔殺商会】の金融プランをご利用下さい!
神に怯えて眠れぬ夜を過ごす事はもうありません!さぁ、今すぐ最寄りの大手魔術結社か【伊織魔殺商会】支部へGO!』
チラシの随所に、デフォルメされた可愛らしい四人のカンピオーネの姿が描かれている。
これ以上ないくらい馬鹿げたチラシであった。魔王であるカンピオーネの派遣業など、歴史上考えた人間なんていないであろう。そもそも、魔王なのだから金銭で困ることなどそうそうありはしないのだ。彼らのように商売などしなくても、自分の傘下の魔術結社に細々とした事はやらせればいい。現に、サルバトーレ卿なども、旅の資金や食事代などは近場の魔術結社が出しているのだから。
カンピオーネとはとびきりの変人ばかりであるが、ここまで突き抜けた存在は今までいなかったであろう。そもそも、表と裏の世界全て合わせた富豪ランキングで、既にトップを独走している癖に、まだ儲けようというのか?【伊織魔殺商会】の資金は、既に小国の二つか三つくらいは楽に買える程あるとさえ言われているのに。
(・・・世界でも
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