第二十一話
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杖で治してあげるから遠慮はしませんからね」
…………
申し訳ないが、レイミアからの修行をみっちり受けていた俺にとって、エスリンの剣術は相手にならなかった
「姉上の剣術は理に叶っておりますが、それを活かすには膂力のほうがいささか物足りないです」
「…はい」
「それと、持久力にいささか不安がありますので走り込みや素振りなど、地味できついですがそういう修練をひとつひとつ積んでいくしかありますまい」
「…はい」
「チャンスを見ての一撃には見るべきものがありますが、そのあとに体勢を崩すのが問題です。これについては筋力、特に下半身を鍛えることと体幹のバランスを心がけてください」
「…はい」
「ではこれくらいにしましょう。」
俺は手拭を手にとると正座して汗でぐっしょりなエスリンに手渡した。
「ミュアハくんには、明日から絶対負けないんだから!」
目のふちがうるうるしたエスリン。
ごめんなさい、かわいいです。
「ねえさま。調子にのってごめんなさい」
「ううん。お姉ちゃんのほうこそみゅう君を甘く見てたの。明日の同じくらいの時間にまた頼むね」
危うく地雷を埋め込んで爆破させたどころか、榴弾をぶちこんで全面戦争になるところを回避した。
翌朝にエスリンは約束通り現れ、それからも俺は彼女に稽古をつけてやることになった。
実際のところエスリンは非力であっても剣術自体はそれなりの腕だ、しかしレイミアに鍛えられた俺は相当強くなっていたようで
大人の騎士との模擬戦で兄上以外には滅多に負けなくなっていたし、兄上ともある程度互角に戦えるようになっていた。
それで調子に乗るってことが無いようにいつもレイミアとのイメージトレーニングは欠かせない。
あの時、トラバントと戦っていた時のあの姿だ。
別れてから2月と経ってないけれど……
そして連れ去られてから2年以上になるアイツも思い出してつい
「会いたいな…」
「みゅう君どうしたの?だれに?」
稽古の間の一休みについ思い出してしまった俺のひとりごとにエスリンねえさまは応えた。
「あ、すみません。トラキアに居たときにお世話になった領主様のことを思い出して」
アイツのことは言ってもしょうがないのでレイミアのことでも話そうか
「わたしをずっと守って、こうやって剣と、そして槍の訓練も付き合ってくれた方なんです。トラバントに罪を被されて、今は名誉回復の機会をどこかで練っているんです」
「そう。それならお姉ちゃんにとっても先生になるのかな。そう思ってもいい?」
「もちろんです!」
それから俺はしばし、レイミアの思い出話をした。
エスリンねえさまはにこにこしながら聞きいってくれたが、そこに一陣の風が吹き
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