第一幕その七
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「私も同じですから」
「それなら何故叔父に」
「いや、それは」
真相を言うことはできなかった。彼は誤魔化すことにした。
「ほんの冗談です。友人として」
「伯爵」
だがマンドリーカはそれを受けて厳しい顔をした。
「叔父は死ぬその直前まで元気でした。おそらくあの写真を見たらすぐにここへ来たでしょう。独身でしたし」
「はい」
「ですが叔父は生真面目でした。これも御存知だと思われますが」
「勿論です」
それはヴェルトナーもよくわかっていた。
「では冗談を好まなかったことはご承知でしょう。そして私は貴方がその様な冗談をされる方とは思えません」
彼は言った。
「今は私がマンドリーカ家の主です。多くの者が私の幸福を祈ってくれております」
彼にはそれだけの部下や使用人がいるということである。
「その数は四千人」
「そんなにですか」
それはヴェルトナーも知らなかった。富豪だとは聞いていたが。
「はい。そして貴方のお手紙のことですが」
彼の顔はさらに真剣なものになった。
「言わせて頂きます。もう叔父はおりませんが」
「はい」
「お嬢さんを私の妻に。あの人を私にお与え下さい」
強い声でそう言った。
「それは・・・・・・」
予想していたとはいえその言葉に戸惑わずにはいられなかった。それは親として当然のことであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ