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アラベラ
第一幕その七
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「私も同じですから」
「それなら何故叔父に」
「いや、それは」
 真相を言うことはできなかった。彼は誤魔化すことにした。
「ほんの冗談です。友人として」
「伯爵」
 だがマンドリーカはそれを受けて厳しい顔をした。
「叔父は死ぬその直前まで元気でした。おそらくあの写真を見たらすぐにここへ来たでしょう。独身でしたし」
「はい」
「ですが叔父は生真面目でした。これも御存知だと思われますが」
「勿論です」
 それはヴェルトナーもよくわかっていた。
「では冗談を好まなかったことはご承知でしょう。そして私は貴方がその様な冗談をされる方とは思えません」
 彼は言った。
「今は私がマンドリーカ家の主です。多くの者が私の幸福を祈ってくれております」
 彼にはそれだけの部下や使用人がいるということである。
「その数は四千人」
「そんなにですか」
 それはヴェルトナーも知らなかった。富豪だとは聞いていたが。
「はい。そして貴方のお手紙のことですが」
 彼の顔はさらに真剣なものになった。
「言わせて頂きます。もう叔父はおりませんが」
「はい」
「お嬢さんを私の妻に。あの人を私にお与え下さい」
 強い声でそう言った。
「それは・・・・・・」
 予想していたとはいえその言葉に戸惑わずにはいられなかった。それは親として当然のことであった。

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