7-2話
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葉を吐いた。
「お前だけじゃない」
ガツッ―――。
「教師、生徒、男子、女子…血祭りだ、学校の奴ら全員―――この島で死ぬんだ」
こいつは…ハデスはそう言った。
それは芝居とかでも何でもなく、本気で…同級生を含むであろう人をも、その命が損なわれるという事に何の動揺も浮かべていない。
「ふ…ざけんな……人の命を、何だと思ってんだよ! 皆生きてる! 死んだりなんかしねぇ! それとも、何か? お前が殺すとでも言うのかよ!」
「殺せるさ」
そいつは石を砕く作業を止め、仮面の裏で口の端を歪ませた。
「オレは以前のオレとは違う。 昔の、数日前までの、何も出来なかったオレとは違う。 この島に来てからは変わった。 この弱肉強食が支配する島がオレを変えてくれた。 そうさ、あの生活とは遠くかけ離れた存在になったんだ。 人の命を掌で操る冥府の王……ハデスに生まれ変わったんだ。 く、はっ…ははは……ハハハハハ! 強い…強いんだ! オレは強い! 好き放題…やりたい事をやってやる! だから、殺す! 殺してやるんだ!!」
こいつ…おかしい!
正気で言っているとは思えない。
こんな奴が、普通に机を並べて一緒に勉強をしていた奴が潜んでいたなんて…とても自分と同じような、学生をやっていた奴とはにわかに信じられない。
うちの学校には突出して才能に恵まれている奴や特別乱暴だったりヤバ気な人間もいたりするけど……こいつのは異質だ。
ガゴッ―――。
ハデスは再び石を砕き始めた。
これ以上問答しても、オレが望む答えが返ってきそうにない。
混乱している今では、ハデスの異質は理解に苦しむ。
「―――よし」
すると、ハデスは石を砕く作業を止めた。
砕かれた石には鋭い先端が出来ていた。 ハデスはその先端を作るためにずっと石を砕いていたのか、その形に納得がいったようだ。
その砕いた石を木の棒にツタで縛り付け、一つの道具を作り出した。
「出来た」
―――オレはその道具の形に、絶望で顔から血の気が引いた。
それはとても単純な“斧”だった。
すごく原始的な、この島で初めて見る事になる“凶器”だ。 それを見せつけられてオレは恐怖した。
殺意を言葉にしたコイツが凶器を手にしてるのに、オレは枝から吊り下げられて身動きの取れない。
オレは“殺される”かもしれない事に恐れ、今更ながらみっともなく暴れ始めた。
ツタが切れて落ちるかもしれない。
だがそれよりもハデスは石斧を両手に握って、ゆらりと幽鬼のようにオレに近づいてきている。
日が落ちたのか、辺りは暗くなっていてハデスの仮面の裏にある目の色が見えない。
その目がどんな色をしている
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