7-2話
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ソレはグアムで見たような…ホッケーマスクとはちょっと違う、顔を覆うほどツルリとした白地に額に模様が付いていて、いくつもの穴が空けられている特徴的な仮面である。
だがそれはあくまで鑑賞用かまじない用のモノであって、その作りは人が顔に着けるには不気味なのだ。
「おい、なんとか言えよ! もしかして…オレを殴ったのはてめーなのか!?」
オレは今でも後頭部に苛む痛みと共に訴えた。
意識を失う寸前に、石か何かで殴りつけたような記憶が蘇って、それをやったのがこいつの仕業だとオレは即断した。
「名前は!? その格好、生徒の一人だろ、クラスどこよ!? そんな、仮面を着けて…ふざけてんのか!?」
ガッ―――!
そいつは返答の代わりに石を叩いた。
手に石を持ち、拳以上に大きい石を砕き始めた。
その行動にちょっと驚いてしまったオレは言葉を失った。
ヤツの不気味さに圧されたとは思いたくないが…今この状況がどれほど不利なのか自分でも理解している。
ガッ…ガッ…――!
絶体絶命なのかも知れない。
腕は拘束され、足は地に付かず、地上から数十メートルもの高さの崖上から吊り下げられている。
こいつがどんなつもりなのかはわからないが、ツタ一本切るだけでオレを簡単に殺せるのだ。
「(くっそ……声じゃよくわかんねーけど……こいつ、オレを名前で呼んだよな…オレの知ってる奴なのか? 制服も同じだし…)」
ガッ…ゴッ……ガゴッ―――!
今もなお石を砕いているソイツの素顔は仮面に隠されていてその正体は窺い知れない。
体格はオレとあまり変わりないけど…心当たりがなかった。
「おい…何か言えよ!」
「ハデス…」
そいつは小さく答えて、こう続いた。
「――冥府の王、ハデスだ」
仮面の男、ハデスはそう名乗った。
「(ハ…デス……!? な、何を言っているんだ…?)」
怨嗟がこめられたような恨めしい声で言うその名は明らかに実名とは思えない。
冥府、とかそんな事を言うなどいよいよ正気を疑う。
だが、その正気の怪しさは…オレの命をも危うく感じさせた。
「ふ、ふざけてんじゃねーよ!! シャレんなってねーぞ、早く降ろせ!! こんな事をしてる場合かよっ…周りを見ろよっ、獣が…猛獣がウヨウヨしていて物凄く危険なんだぞ!? 生き残った奴らと一緒に協力しなきゃなんねーってのに…お前だって生きて帰りてーだろ!?」
ガツンッ―――。
「うぅん」
だがそいつは…ハデスは短く否定した。
「お前はここで死ぬんだ」
底暗い声で、オレに死亡宣告を下した。
とても同年代とは思えない、淡々と冗談では済まされない言
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