―修学旅行 最終日―
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最近……特にセブンスターズの件があってから……なんだか意識を失ってしまうことが多い気がするが、今回のバーチャル空間からの強制ログアウトはなんとか意識を保つ。
……いや、精神がバーチャル空間から自分の身体の中に戻るようなものなので、意識を失ってしまうのがおかしいのか……というか一応、これは遊園地のアトラクションなのだ、そんな危険はないと信じたい。
バーチャル空間に行くための端末なのだろうか、なんだかカプセルのような物に寝っ転がっていた俺の身体を起こし、とりあえず伸びをした後に辺りの状況を探る。
……辺りはただの暗い部屋であり、俺が今し方起きたカプセルの他にも、いくつかのバーチャル空間に行くためのカプセルがあるだけで、この部屋にあるのは二つのドアだけだ。
「三沢、エド、十代!」
はぐれてしまった友人らの名前を叫んでみるが、この部屋から返答はないため、とりあえずここから出てみようとドアのノブに手を伸ばす。
そこで、ようやく俺は近くのカプセルの違和感に気づいた。
ここにあるカプセルに閉まっているものがある……人が入っていないカプセルは、そのまま空いているというのに。
そのカプセルは四人分で丁度人数も合う……ということは、俺以外の四人はまだバーチャル空間へと入ったままなのか……!?
美寿知は強制ログアウトと言っていたのに妙な話だが、そうとしか考えられない……つまり、何者かが俺のみをログアウトさせたのだ。
「その通りです……黒崎遊矢くん」
この部屋に来て始めて聞いた人間の声に振り向くと……オベリスク・ブルーの制服を着た男子生徒が一人立っていた。
オベリスク・ブルーが光の結社に吸収されたような今の状態のために、この制服を着ている人物は俺と三沢、そして吹雪さんの三人だけのはずだ。
だが、俺は見たことは無いが、光の結社の中でも白く染めた制服を着ていない人物が存在するのだ。
俺は実際に会ったことがなかったものの、俺の目の前に立っている人物の心当たりは一人しかいない……!
「お前が……斎王か……!」
「荒事をしてしまって申し訳ありません。お身体は平気ですか?」
俺の憎しみが入った視線をサラリと受け流しつつ、斎王は何故だか俺の身体の調子を確認する。
「ずいぶん余裕だな。お前がデュエル・アカデミアの皆に何をしたか教えてもらう!」
美寿知から斎王について聞き出せなかったことは残念だったが、本人が目の前にいるのならばそんな必要はない。
「何をしたかと言われましても……彼らは、自らの意思で私に従っているだけですよ」
今にも飛びかかりそうな俺と対比するように、いけしゃあしゃあと斉王は返答してくる……このままではアイツのペースだ、一旦落ち着こう。
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