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英雄伝説 零の軌跡 壁に挑む者たち
5話
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て生きるのも否定はしていない。けれど相変わらず孤立した日々を続けるのも違っている気がした。折りしも魔導杖の開発も一区切りして少しは我侭が言える立場になっている。
だからあの自分に希望をくれた人の息吹を、意思を感じさせる部署にいれば何か掴めるかも知れない。財団での三年間で少しは成長出来たはずだ。
そう決心した話を切り出した時、開発部の上司や仲間たちは反対した。

「実戦テストは財団内でも出来ることで総本部のある遊撃士協会からいくらでも人材は借りられるし、危険な大都会の警察に行かなくてもいいじゃないか、ほかにも見て欲しい新型のテストが待っている」

同僚たちの言葉は正論だった。ただの技術者の子供が一人で行っても辛いだけじゃないか、何が出来るのか、ここに居たほうがもっといろいろなことが出来ると。

「我侭なのはわかってます。でもどうしても行きたいんです」

そうやってティオが頭を下げて頼み込むと開発部のみんなは結局ティオの意思を尊重することにした。
同僚として一人前として扱ってきたしこれからもそうする。だからティオがそこまで言うのならば応援することに決めたのだ。
開発部のみんなはクロスベル警察に話を持ち込んで出向する名目を考えることになった。
財団からの出向なのでその新部署を支える技術者か通信士かと協議したのだが、やはりティオが出向する理由は開発に関わった魔導杖(これ)しかないとみんなで頭を捻った結果は、“ティオのような子供でも使える装備の運用実績を作るためにあまり危険ではない警察で実戦運用を行いたい”であった。
少々無理のある理由であったがティオが14歳の子供であり魔導杖の説明にも説得力があったためエプスタイン財団の要請をクロスベル警察は受け入れることになった。
開発部はティオがクロスベルで生活するために現地の支部長やらに才能と性格から気を使って欲しいと頼み、さらにレマンを出る前に本当に子供用に魔導杖を作ってしまっていた。
本来は大人用に作られた機構の簡略化と汎用性を高めた導力杖がすでにテストを待っている状態だったのだが、開発部の同僚たちは滅多に我侭言わないティオの門出にどうせ使いこなせるのだからと頑張ってしまいテストしていた導力制御と感応力制御が出来るエイオンシステム内蔵のヘアバンド型受信機を用意して感応力増幅機能を内蔵、ほかにも小型導力砲への変形などなど限界まで小型化しいろんな機能を性能限界まで詰め込んだ逸品が出来上がっていた。
本当に実戦運用テストをさせるつもりだと本気で心配ないように持たせてくれた反面、本気でデータが欲しいのだと思って、ティオはこの人たちは相変わらずだなと笑った。
そうしてレマン自治州に別れを告げてクロスベル自治州に辿り着いたティオはまず現地の財団支部に顔を出して、クロスベル内での財団の所属として着任を
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