5話
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る、一人前として扱ってもらっている自負とそれならこちらも本気で対応しなければ失礼だという妥協しない一つのことに打ち込む技術者精神が育まれ、同僚たちも言い争いはしょっちゅうしていたが理論的に説明することが出来るようになっていた。
ここはこういう問題がありこうするべきだと容赦なく伝えるようになり、性格は暗かった影響が出たのかそっけない感じになってしまったが3年もすれば立派に開発部の一員となっていた。
とはいえやはり開発部の中でも距離があるのは変わらなかった。
同僚たちも10も20も年が違う子と仕事の話はともかく飲み会に連れて行くことも出来ずなんだか持て余し気味で非常に気を遣わせてしまっていたからだ。
そんなティオは学校時代に覚えたレマン自治州でも普及し始めたばかりの導力ネットワークで趣味が出来ていた。
そもそもティオは能力と性格から外で活発に遊ぶような子ではなかったので家で本を読んだりするのが好きな屋内派だったのだが、この導力ネットワークは非常にティオに合っていた。
高い感受性、感応力を持つティオは調整されて普通の生活が送れるようになったとはいえやはり緊張し疲れてしまう。だが、ネットワークを介するとそういう疲れを感じずに文書のやり取りで意思は伝え合えるし、通信では口下手なところもあり、文通では時間が掛かり過ぎるのでネットにのめりこんで行った。
自然と導力ネットワークに詳しくなり専門的なことを覚え、新型システムを使って演算効率を上げてみたり、またそういう付き合いの知人も増えて行った。
ティオがレマン自治州での開発部の試作品と格闘して魔導杖を作り上げたりネットワークで最先端の文化に嵌ったりと孤立しつつも充実した生活が続いていた、そんな時である。
いつもネットワークでクロスベルを調べていると警察文書に知っている名前が出てきたのだ。
セルゲイ・ロウ。
かつて自分を助けてくれた刑事の上司。3年前にクロスベルに行った時は異動でつかまらなかった人。
なんとか連絡を取って話を聞きたかったが、その文書は新部署立ち上げの計画書だった。その企画者、責任者として名前が記されていた。
ティオはセルゲイに自分のこれまでの状況と現在の立場を記した手紙を送り、どういう部署を立ち上げるのか、内容如何では手伝う用意があることも伝えた。
後日、返事が来て、その部署が元部下が構想したものに沿って作られるものだという事が記されて人材不足で助けが来るなら歓迎という事だった。
これでティオの心は決まった。
ずっとクロスベル警察の情報を調べていたのは迷宮入りした事件が解決するかも知れない、それを知りたいという気持ちがどこかにあったからだ。恩人の仇を取りたいなんてことを言うつもりはないが一区切り付けたかった。
ティオは自分の生きる意味を探していた。技術者とし
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