第十話
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こと」
「そんなことって―――」
「幾らでもやりようはあるわよ、そんなの。それに、ウェールズの存在は戦争を起こす免罪符としての価値としては下の下よ。彼が死んだという証明が出来ないのはレコン・キスタにとってはマイナスだけど、彼ひとり生き残ったところでやれることはたかが知れている」
「そうかもしれないけど………」
「それに理由なんて言うのはね、幾らでも作ることが出来るのよ。それが例え捏造でも、出所不明の情報でも、力や権力さえあれば通すことができるのが現実よ。それこそ、貴族と平民の関係のようにね」
「………それにしたって、切っ掛けになるのは確かでしょ。対策なしにこんなことをするような奴ではないって知ってるけど、何か当てはあるの?」
「ええ。その為には、キュルケかタバサの協力が必要になるわ」
キュルケとタバサは互いの顔を見合わせる。
「簡単な話、トリステインに的を絞らせなければいいのよ。その為には、貴方達二人のどちらかに『ウェールズがゲルマニアないしはガリアに逃走した』という噂を流す必要があるのよ」
「そんなことでどうにかなるの?信憑性もなにもあったものじゃないわね」
「信憑性なんて僅かにあればいいのよ。これはあくまで奴らの目を分散させる為にやるのであって、貴方達の国をスケープゴートにしたいからじゃないもの。それに、曖昧な方がスパイに探られてもばれない可能性があるしね」
「そう。で、実際何をすればいいの?」
「キュルケかタバサのどちらかが一度本国に戻って、例の噂を流す。誇大広告しなくても、現在話題沸騰中のアルビオンの王子が逃げたという話なら、勝手に莫迦みたいに拡がるから気にしなくていいわ。むしろそうすることでデマだと思われたら困るもの。レコン・キスタは発展途上の組織。国力に乏しいトリステインならともかく、ゲルマニアやガリアクラスの規模の国を相手にするとなれば、話が変わってくる。噂の真偽を確かめようとはしても、強硬手段に出るのは避けようとする筈。その間に、トリステインはレコン・キスタへの対策を整える」
「はぁ………。しかし、そんなに都合良くいくかしら」
「いくわよ。組織として出来たばかりのひよっこが、ひとつの国を壊滅させて増長している今こそが好機。人間の思考なんてね、皆が思っているほど複雑じゃないのよ」
「あ、そう………。ま、噂流す程度ならゲルマニアに大きな被害は出ないでしょうし、出たところで戦争になる免罪符としては下の下、なんでしょう?」
ウィンクを一発。
本当、こういう面をもっと見せれば別の意味でモテると思うんだけどね。
「それに、話の流れからしてもうゲルマニア行きは確定してるっぽいしね。タバサには悪いけど、ゲルマニアは最大規模国家。隠れ蓑にするには打って付けだ
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