第9話『帰郷』
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らの男の言葉が重なった。
それに、俺は驚いた。
言葉を重ねられたからとかいうくだらない理由じゃない。
麦わらの男の声がさっきまでのどこかちゃらんぽらんな声色とは全然違い、強い意志の伴われた声だったからだ。
一点の迷いなく言い切られた言葉に、だけどまだ疑問はつきない。
「航海士って……おまえらはいったい?」
「海賊だ!」
なん……だと?
海賊? こいつらが?
「本当に?」
金髪の男に確認。無言でうなづかれた。
嘘だ。
「冗談じゃなくて?」
先ほどヨサクと呼ばれていた男に。また無言で頷かれた。
どうやら本当のようだ。
「……こんなにしゃべった海賊の一味は2つ目だな」
実に海賊らしくない。白ひげさんのとこのようになぜか温かみを感じる。だから、信じられない。
「ちなみに賞金首とかには?」
「なってねぇんだよ、それが……でも、俺は海賊王になる男だからな。いつかきっとものすげぇ額をかけられることになるぞ」
海賊王。
「……」
言葉を失った。彼の顔は笑ってはいるけど、目は本気で言葉にもものすごく力がこもっている。将来を見据え、一点のくもりなくそれになると信じている。そう、本気で目指している。
海賊王を。
それが伝わった。
実に大きい夢。
「……お前、すごいな」
自然と言葉をこぼしていた。
「ししし、そうだろ!?」
いい笑顔だ。無邪気で、純粋で、たぶん信念も持っている。
うまく海を渡れば俺なんかよりもずっと大物になる気がする。いや、俺は小物だけど。こう、強さとかそういった意味で。
「ところでもしかしたらなんだが――」
隣の金髪の男が急に口を挟んできた。麦わらとの会話に夢中になってたけど、そうだった、まだまだ会話の途中だった。
「――お前もアーロンパークに向かってんのか?」
というかよくわかったな。今までの会話の流れでそう察したんだろうが、この男はきっと頭がいい。隠すことでもないし、むしろ連れて行ってもらいたいので「ああ」と正直に頷いておく。
「ええっ!?」
ヨサクというらしい男が驚きの声をあげた。そんなに驚くこと……なのだろう。さっきのこの男の口ぶりからして。
「すげぇ偶然だな!」
と、麦わらの男は楽しそうに驚いている。なんだろうか、さっきからもしかしたらと思っていたけどこの男とは波長が合いそうだ。
「んで、お前とナミさんとの関係は?」
「……関係?」
金髪の男がなぜかそこで怒っているのような形相で、しかもドスの効いた声だ。なんとなく迫力に押されてしまって答えそうになる。
「……関係、か」
なんなんだろうか。
アーロンに
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