第一幕その四
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微笑みながら窓から離れた。
「ところでズデンカ」
彼女はここで妹に対して語りかけた。
「何なの、今度は」
アラベラはそれにはすぐ答えず花瓶の紅い薔薇を一つ手にとった。
「これを貴女に」
そしてその薔薇を彼女の服の胸の部分に差し込んだ。
「貴女に幸福がありますように」
それはまさに胸に咲いた一輪の花であった。
「姉さん、いいの?」
ズデンカはそれを受けて姉に尋ねた。
「こんな綺麗な薔薇」
「いいのよ。私は受け取ることはできあにけれど貴女には受け取ることができるわ」
「私には」
「ええ」
彼女は妹の気持ちに気付いていた。だがそれは決して口には出さなかった。そしてそれを妹には気付かせなかった。
ここで扉を叩く音がした。
「はい」
ズデンカが出た。扉を開けると中から背の高い軽やかな外見の貴公子が姿を現わした。
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