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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十七話「修業開始」
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とが出来ないなんて、根性のない人間ですね」


 その小馬鹿にしたような言い方に思わずカチンときてしまった。


「なんで君にそこまで言われなくちゃいけないの? 君なんて先生に見といてって言われたのに、ただそこで寝転がっているだけじゃないか!」


「ちゃんと見てますよ。ただ、まったくと言っていいほど変化が無いから、少々飽き飽きしていただけです」


「ぐっ……」


 悔しいけれどぐうの音が出ない。押し黙る俺にハクが溜め息をついた。


「はぁ……千夜もなんでこんな人間の面倒を見るんですか。大して取り柄のない人間の相手をしても時間の無駄なだけでしょうに」


「むぐぐぐぐぅぅ……っ、くそっ! 絶対に見返してやる!」


「どうぞ、精々頑張ってください」


 澄ました顔のハクにむかっ腹を立てた俺は気炎を吐いた。


 とはいえ、何かが劇的に変わるはずもなく、結局気を感じることが出来たのはそれから五日後のことだった。





   †                    †                    †





「予定より一日オーバーしたか。まあ許容範囲内だろう」


 いつものスーツ姿で現れた先生がボルヴィックの水を投げ渡しながら微笑んだ。肩を駆け上る小狐に先生が訊ねる。


「それでハクから見てどうだ? 青野は」


「ダメダメですね。根気も才能も無いようですし」


「相変わらず辛辣だな……。すまないな青野、気を悪くしないでくれ。この子も色々とあってな、人間に臆病なんだ。気長に接してやってくれないか?」


「う〜ん……先生がそう言うなら」


 腕を組んで難しそうな顔をする青野。どうやら俺がいない間に一悶着あったようだ。


「むっ、臆病とはなんですか臆病とは。なぜ私が人間ごときを相手に臆病にならなくてはいけないんですか! 私は臆病なんかじゃありません、人間が嫌いなだけです! ……貴方もなに流されて頷いてるんですか。私はあなたのような脆弱で気弱な人間なんかと仲良くするつもりはありませんからね!」


「なっ……人がせっかく歩み寄ろうと思ってたのに! ああいいさ! そっちがその気なら俺だって仲良くしないもんね!」


「「ふん!」」


 ――この子たち、意外と相性がいいのでは?


 二人の様子に苦笑した俺は手を叩いて仲裁に入り、修業の続きへと移ることにした。


「気を知覚したら今度はコントロールだ。気というのは体内だけでなく大気中にも微量ながら存在している。今はまだ出来なくてもいいが、最終的には大気中の気も操れるようになれ」


「先生、実際にはどんなことが出来るんです
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