第二十話 空、靴
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見開き、他の三人はああ、あれか。と頷いた。
「つい一ヶ月くらい前に発売されたウィングドブーツって言ってな。個人が空を飛ぶための機械靴なんだよ。」
金属の靴を履いた幾人もの人が、空を飛び交っている様子を見て、和也はそう答える。
「世界初の単身飛行補助装置で、今すごい人気なんだよ。同時にすごく高くもあるけどね……。」
りんかはウィングドブーツについて簡単に補足する。
ウィングドブーツは非常に高価だ。ある企業が夢を追い続けて開発したという経緯があるが、その開発費用の回収も含めているのだろう。凄まじく高い。
具体的に言えば、一般家庭ではまず買えない。相当裕福な家庭でなければ購入の検討にすら至らないほどの代物だ。
「誠也?」
上を見上げたままピクリとも動かない誠也を見て、エリは心配そうな表情で誠也に呼びかける。
「………………………アリス。」
「………そうね、誠也。あれなら何とかなるわよ。」
「……だよな!!」
誠也の声は強い喜びに満ちていた。
誠也はその声の勢いのまま和也に問い詰める。
「なあ!!和也!!」
「な、なんだよ?急に。」
「あれどこで買える!!!?」
「はあ?藪から棒に、どうした?」
「やっと見つけた空への希望だぞ!!捨ててたまるかよ!」
地球人の多くは魔力を持っていない。つまり、ウィングドブーツは魔力がなくても空を飛べるのだ。
空への憧れを魔法の適性ゆえに諦めなければならなかった誠也にとって、これは空へとつながる希望とも言えた。
「誠也、一体どうしたのよ?」
「エリさんは!?どこであれが売ってるか知りませんか!?」
エリの問いかけにも答えず、逆に質問を迫る誠也。
完全に我を見失っている状態であった。
そんな誠也をエリは怒鳴りつける。
「落ち着きなさい!!」
「っ!!」
その強い声に誠也はびくっとなって、我に返る。
「急にどうしたのよ?」
エリは誠也と目線を合わせ、優しく問いかける。
誠也は少し居心地の悪そうな表情をしながらゆっくりと語り出した。
道中、誠也は己の過去を四人に話した。アリスは大体知っているので、聞かせた対象は主に三人だが。
そして、それを聞いたりんか達は誠也の取り乱し様を納得してくれた。
「そっか。だからあれだけ取り乱してたんだね。」
「す、すいません。」
りんかから改めて取り乱していたことを告げられると何とも恥ずかしい思いを感じてしまい顔を真っ赤にしてしまう。
「ううん。別に大丈夫だけど、ちょっと驚いたな。」
「そうね。大分大人びてると思ってたから、急にああやって落ち着きなくなるなんて。子供っぽいところもあって驚いたわ。」
エリは少し意地悪そうに誠也をからかう。
誠也はそれを聞き、ますます真っ赤になる。
「誠也のそんな顔を見るなんて珍しいわね。お願
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