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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode6 キエルヒカリ2
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 こいつらがなんだろうと、俺にはもう戦う気は無かった。
 なぜなら俺は、ここにきてようやく気付いていたから。

 「貴様の、スピード。見せて、もらおうか」
 「ククッ、ヘッドもえげつねぇこと考えるぜ!」
 「ゴろす。ヴぃくら速くても、ゴろす」

 こいつらが『冒険合奏団』を襲った理由は、恐らく俺とソラだったのだ。

 「…どうした。『攻略組』最速を、見せてみろ」

 奴らは来るべき『攻略組』との戦争に備え、その戦力を図るための試金石として俺達を選んだ。ソラはボス戦も何回も経験している上に攻略組でも有数の戦闘力をもち、しかもその戦闘スタイルは剣、槍、投擲まで様々なタイプを他の『攻略組』から習って作り上げたもの。戦闘に慣れるという点ではこの上なく適任だ。

 そして、俺。最初に狙うべき獲物として定められたのが、俺だ。『攻略組』でも間違いなくトップクラスのスピードは、最近では『旋風』の二つ名を貰うほどだった。つまり、俺の速さに慣れてしまえば、『攻略組』の速さも怖くない。相手の剣が見えないという事態を未然に防げる。そしておあつらえ向きに俺の攻撃力は極端に低い。例え慣れるまでに数発貰っても、HPは半分も減らない。まさに練習相手として最適。

 …いや、実験台として、か。
 そう、狙われたのは、俺だった。俺が、皆を巻き込んだ、ということだった。

 そして、奴らは俺の速さに慣れるため、時間をかけて俺を嬲り殺すだろう。そう、さっきのPoHのように。そんなことをされて、『攻略組』の足を引っ張るくらいなら、俺は。

 (……もう、このまま、無抵抗に…)

 殺されてしまった方がいい。そう遠く無い未来に来るだろう、最悪の殺人者ギルド、『笑う棺桶』の討伐戦において、こいつらが『攻略組』に対して対策を取れないように、俺はここで、無抵抗のまま死んでしまえばいい。

 「Hummm…? 思ったよりアイテムが少ないな?」

 ぼんやりと霞んだ世界で、背後から艶やかな声が聞こえる。PoHのものだ。俺の後を追いかけてきたであろう奴がストレージを開き、戦利品を確認している。その声にこたえたのは、ジョニー・ブラック。

 「結婚してたんスよ! だからコイツ殺せば全部手に入りますって!」
 「それでも少ねェだろうが。オマケが二人いたろ? そいつらの分は?」
 「っ、っと、そ、それは、」
 「…ダンカンが、相手をしている時、隙を見せて」
 「ヴぉれ…」
 「……逃がしたってェのか?」
 「…っ、そ、その…」
 「……Suck」

 三人がそろって目をそらす。短く舌打ちしたPoHが、身を翻す。

 「俺は入り口で増援がこねえか見張ってる。マズい相手なら『笛』を鳴らすから、終わらせてから転移しろ。…いいな。二人みてェに逃
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