SAO編
episode6 恐怖と絶望の体現者2
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。最高で最速の攻撃だったのか。
それとも。
…それとも、さっきの一撃でさえ、ほんの挨拶がわりだったのか。
(ぅ……)
喉が、ゴクリと鳴る。
本当はこの世界では感じないはずの鼓動が、狂ったように脈打っているような錯覚を感じる。頭を埋め尽くす恐怖と…絶望。もしあれよりも速い一撃が来たら、俺はもう避けられない。そしてこのハーフコートをいとも容易く切り裂いたあの魔剣をまともに食らえば、俺の紙に等しい防御ではHPは一気に持っていかれる。
最悪、一撃で……
「っ、当たり前だ! 次はこっちから行くぞ!!!」
止まりかけた体を、思考を無理矢理に断ち切って、疾走する。PoHの周囲を囲むような軌道で周囲を走る。今まで誰にも披露したことの無い複合スキル最上位技、《ファントム・シェイド》。必要とされる敏捷値はかなり高く俺も最近使用可能になったばかりだが、一定速度以上で走り続ける限り、俺の体はいくつもの影に分身して見えるというチート性能の技だ。
そしてその数は、疾走を続ける限り増え続ける。
「Wow…こいつは驚きだ」
ぐるりと見回すPoH。その目は、俺を捕えてはいない。行ける。なおも疾走し続け、右手の指を揃えて貫手の構えをとる。周囲の幻影達も、鏡映しのように走りながら同様に構える。その手が、一斉にソードスキルのエフェクトフラッシュを放つ。その数は既に十を軽く超えている。
そのまま、PoHの背後に一瞬で駆け寄る。『隠蔽』の派生技でその気配は完全に消してある。完全にPoHの死角から、《エンブレイサー》の一撃で首筋を後ろから襲う。
決まる。避けられない。
渾身の、一撃。
それが貫いた。
「甘いな。『攻略組』最速、『旋風』ってのはその程度か?」
PoHの、声だけを。
避けられるはずの無い一撃。それを、奴はあっさりと首を捻ってかわした。同時に振り返ったPoHの目線が、俺の愕然とした目線と交錯する。本能的な恐怖に駆られて飛び退ろうとしたものの、体は微塵も動かない。技後硬直だ。
そんな俺を嘲笑うように、PoHの右手が構える。毒々しい色のエフェクトフラッシュを纏ったそれは、まぎれも無いソードスキルの前兆。ソラと背中を合わせて戦う中で、何回も見た短剣スキル四連撃技、《ファッド・エッジ》の構え。
「っ!!!」
その連撃の軌道を見切って、左手の手甲をそこに翳す。防げる。俺の左腕に装備されているのは、超軽量金属とは言え現在最高峰の素材から造られた《フレアガントレット》なら、防ぎ得るはず。間一髪、間に合ったその動作を見たPoHが、
にやりと嗤った。
「っ!!?」
予想した衝撃は、来なかった。
なぜ? 俺の意識が、不測の事
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