2 「★『アオアシラの侵食』」
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流についたから、そろそろ5時間、渓流にいたということになる。といっても、半分以上はアオアシラを探すことに費やしたのだが。
「狩猟を初めてまだ5時間しか経ってないのに、もう諦めちゃいそう。やっぱり1人は無理だったのかな……。……シャンテ達、心配してるかな」
ボコッと音がすると、地面からハーヴェストが出てきた。アイルーやメラルーといった種族は、体力回復の為やエリア移動を高速で行う為に、地面に潜ることができるのだ。ハーヴェストは申し訳なさそうな顔をしてとぼとぼとリーゼロッテの前に立った。
「どうしたの?」
「ご主人、申し訳ないニャ。逃げるのに一生懸命で、ペイントボールを投げるのを忘れちゃったニャ……」
「あっ」
リーゼも忘れていた。とにかく一刻も早くアオアシラから逃げることを優先していたせいで、腰のポーチのなかのペイントボールのことなど、頭からすっとんでいた。
リーゼロッテの声で更に萎縮したハーヴヴェストは、今にも泣きそうな顔をしている。リーゼは慌てて言い募った。
「落ちこむことないよ。わたしだって忘れてたんだから、ハーヴェストのせいじゃない。むしろ、ハンターになって1年も経つのに、まだ基礎すら忘れるわたしが悪いんだから…」
言ってて自分もだんだん泣きたくなってきた。ハーヴェストはそんなリーゼの言葉に再び謝ると、彼女の足元に腰掛けた。
「……ボクは、いつも臆病ニャ。それはオトモ育成所でも言われていたことニャ…」
「ハーヴェスト…」
「ご主人はボクたちオトモアイルーより背が大きいから、大型モンスターに狙われやすいニャ。それをボクたちオトモが挑発して標的をボクたちに変更させることが一人前のオトモアイルーと言えるニャ。
あるいは笛やスキルを駆使してご主人の狩りをサポートするのがオトモの役割ニャ。小型モンスターの相手をして、ご主人が大型だけに専念できるようにするのもニャ」
「……」
「ボクは逃げる途中、ペイントボールをアオアシラにつけていないことに気づいたニャ。まだ奴は同じエリアにいたから、すぐ戻れば間に合った筈だニャ。
……それでも、ボクは怖くて1匹で戻れなかったニャ。こんなの、オトモ失格だニャ。他のハンターさんに雇われているオトモたちに馬鹿にされるのも、当然だニャ……」
周りを静けさが包んだ。遠くでトンビがいい声で鳴いている。リーゼロッテは、不意打ち気味に落ち込むハーヴェストの脇を抱えて持ち上げた。
「うニャッ!!?」
「だからさ、ハーヴェスト」
こちらを向かせて膝に乗せると、うニャうニャいいながら降りようとするアイルーを押さえつけた。ジャギィ装備の帽子の下から、青く丸い目がこちらをのぞく。
「ふたりとも半人前だから、一緒に頑張ろうよ。2人いても1人前
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