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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
2 「★『アオアシラの侵食』」
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「くっ! きゃああっ」
「ご主人!」

 アオアシラの振り向きざまの回転ひっかきに、後方に吹き飛ばされる。なんとか太刀を間に入れて爪が直接防具を傷つけることはまぬがれたものの、衝撃を直に受けた両腕はジンジンとしびれていた。暫くまともに動きそうにない。太刀を取り落とさないようにするので精一杯だ。泣きそうな顔でハーヴェストが足元に走り寄ってきた。
 一回転して地を滑り威力を軽減しようとするが、間髪いれずにアオアシラが突進してくる。咄嗟に横に飛び込み前転をして回避。だが、完全にバランスを崩したリーゼロッテはあたりを取り巻いていたジャギィのタックルを躱すことができなかった。

「あぅ!」

 ジャギィは鳥竜種の小型モンスターで、新米ハンターが最初に相手にする肉食竜である。“小型”というくらいだから体躯は大きくなく、ちょうど大人の腰丈と同じくらいだ。また鳥竜種という特徴から細身の体をしているのだが、うちに秘める肉食竜としての荒々しさとびっしり並んだ小さいながらも役割をしっかり果たす牙は、人間の肉など易易と噛み千切る力をもつ。
 何より恐ろしいのはその連携である。人間にとっては脅威でも、多くの肉食竜の中では最弱に位置するといっても過言ではないジャギィは、4〜5頭のグループで常に行動し、獲物を取り囲み、数で倒す。ともすれば中型の草食竜にすら踏み潰されかねないほど小さなジャギィは、そうやって生き延びていく。
 そんなジャギィが、今、アオアシラとリーゼの周りに3頭いた。それだけではない。なんとも運の悪いことに、ジャギィノスまで1頭いるのだ。
 ジャギィのメスであるジャギィノスは、ジャギィよりも大きな体を持ち、必然的に力も強い。
 ただでさえ狩猟経験の少ないアオアシラで苦戦しているというのに、周りにこれだけ敵の応援がいれば、リーゼロッテにとって不利以外の何者でもない。アシラが狙いをリーゼ1人に定めているのもある。
 おまけにここは渓流のエリア6。足場が水に浸っている上、川底の小石をひっくり返して足を掬われかねない。候補生を卒業してハンターになって1年経ったとは言え、まだまだ駆け出しの新人(ルーキー)の域を出ないリーゼにとっては、危険なフィールドなのだ。

「ハーヴェスト、一旦引いて、ジャギィ達が去ったらまた行こう!」
「は、はいニャ!」

 隙を縫ってジャギィ達の包囲を突破すると、太刀を背に戻し一目散にベースキャンプへ駆け出す。エリア移動をし、ガーグァ達の後ろを駆け抜けてベースキャンプへとたどり着く頃には、息も上がってへとへとになっていた。命をかけた緊張感から解き放たれたという安心もある。

「はぁ……」

 簡易ベッドに腰掛けると、思わずため息が漏れた。空を見上げると、そろそろ日が沈む。遠くに鳶が旋回しているのが見えた。昼過ぎに渓
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