第一章 Locus solus ―邂逅―
1 「宿る闘志」
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った。エリザは美人だ。長い藍色の髪は3日間狩りに行って帰ってきたとは思えないほどつやつやのサラサラだった。ちょっと手入れを怠るとギシギシの枝毛だらけになってしまうリーゼロッテの赤味がかった金髪とは大違いだ。
(それにエリザはわたし以外には優しくていい子だし、日に焼けてもすぐ元に戻る色白さんだし、鉱石とかだってわたしが鉄鉱石や石ころばっかりなのにマカライト鉱石とか採ってる強運だし、村の誰もが認める美人だし……)
同じ年に生まれて同じ日にハンターになった。他のすべてが負けていると思ったから、ハンターとしては負けたくなかった。だから毎日巣ぶりを欠かさなかったし、初めのうちは体力も心もとなかったが、毎日走り込みをして今ではキッチリ最後まで走れるようになった。
(その上、わたしの武器は太刀で、エリザは弓。攻撃力の差は明らかなのに……)
それなのに。
(エリザに……ううん、まだ負けてない! わたしだって4日で、ううん、アシラくらい3日で狩ってみせる! 大丈夫よ、最近はドスジャギィだって安定して狩れるようになったんだもの。余裕だわ)
その目には闘志が宿り、気力は十分。
だが、同時に焦りが浮かんでいることに、まだ経験の浅いハンターは気づかなかった。
自然の生み出した絶対の獣を前に、焦りと油断は一番の禁物であると、訓練所で学んだにもかかわらず――。
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