第一章 Locus solus ―邂逅―
1 「宿る闘志」
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と回復薬などをポーチにつっこみ始めた。迷わず取り出せるよう、普段整頓が苦手なエリザでも綺麗に仕分けしてポーチに入れていく。いざというときに回復薬がどこか分からなかった、ではお話にならないからだ。
シャンテは無断で出てきてしまったことに今更気づき、顔を青くしてカウンターにかけ戻っていったが、ロウェルは手持ち無沙汰になった。彼はハンターではないので必要な物を手渡すこともできず、エリザの家の中でぶらぶらとしていたらキッと彼女に睨まれる。
「あんた、本気であいつのこと助けようと思ってる?」
「へ?」
「ほんのひとっ欠片でもあいつを助けたいと思うなら、今すぐ村長とギルドマスターに連絡してこい!! それからリーゼのご両親にも報告! あたしがすぐ向かうからって言い忘れんじゃないわよ!! 男なんだからシャキッとしなさい!!」
「は、はいっ!」
思わず敬礼して家をダッシュで出て行った。後に語ることには、目の前で火竜に食われそうになる図が思い浮かんだという。
***
一方、御者アイルーを気迫で脅して急かしている駆け出しハンター、リーゼロッテ・マインは、やる気があってもやることがない竜車の上で、仕方がないから寝転がって空を見ていた。となりでは安らかな顔でリーゼのオトモアイルー、ハーヴェストが束の間の眠りに就いている。
朝日に輝く雲を眺めると穏やかな気分に――どうしてもならない。脳裏に浮かぶのは昨日の晩の、あのにっくきエリザの勝ち誇ったような顔だった。
『あーら、リオレイアでも来襲したのかと思ったら、リーゼロッテじゃないの。ドスドス音を立てて、あたし間違えちゃったー』
思い出すだけで腹立たしい。あれは温泉で耳に水が入ってしまって、それを出そうと片足でぴょんぴょん跳んでいただけなのに。
だが、何よりこうしてリーゼを早朝から狩りへと赴かせた最大の理由は、エリザが1人で、それもたった4日でアオアシラを狩ってきたということにあった。
(わたしですら最高記録は5日なのにっ……!)
彼女が目の敵にしている駆け出しハンター、エリザ・ヴェローナを、昔からリーゼは嫌っていた。否、正確には“羨んでいた”。
自分より何もかもを持っている、と思っていた。
まずエリザはリーゼよりも背が高い。他人から見れば笑わせることでも、身長が平均よりも低いリーゼにとっては大きな問題だ。身長は高ければ高いほどハンターに有利というのもある。
そしてもう1つ、どうしてもリーゼが歯噛みするものがあった。……胸のサイズである。
(なんでわたしは身長153cmのAカップで、エリザは165cmのDカップなんだろう? 殆ど同じようなもの食べて育っているのに!)
他にも上げればキリがないとリーゼは思
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