第一章 Locus solus ―邂逅―
1 「宿る闘志」
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言ってないで! リーゼは!? あああ、もう竜車がない!」
質問しつつも答えを聞かずにわあわあ騒ぐ。耳を抑えつつもロウェルは首を傾けた。リーゼだってハンターになって1年である。1人で行くのだから、当然討伐系ではなく採集クエストを選んだのだと思っていた。
「違う!! あの子、アオアシラの討伐に1人で行っちゃったのよ!! 私、何も考えずに許可証に判捺しちゃって……だって、いくらなんでも誰かと一緒かと思ってたから!」
「オイオイ……それは、マズイんじゃね?」
「ああもう! 今はカエンヌさんもオディルさんも砂原いってるから、帰ってくるのは4日後くらいなのに!!」
ようやくロウェルも事態の重さを実感してきた。カエンヌとオディルはリーゼ達の先輩ハンターで、ユクモ村の専属ハンターである。彼らも下位ハンターではあるが、1人でもアオアシラ程度なら撃退程度はできるはずだ。だが、当の本人たちは1週間前から砂原のクルペッコ討伐クエストを受けている。今頃ちょうどペッコと対決をしているときだろう。間に合う訳がなかった。
「とすると、エリザ……?」
「しかいないじゃない。頼みに行くわよ!」
「オ、オイラも!?」
目を丸くするロウェルに、シャンテの目がつり上がった。
「あんたリーゼがどうなってもいいっていうの!? 確かにHR1の星1クエストに分類されるアオアシラは弱いけど、それでも列記とした牙獣種なのよ!? まだハンターになって1年なんだから、パーティ組むのが普通でしょうが!! 」
「わかった。わかったよ! だからオイラの耳のためにも叫ばないでシャンテ〜」
情けない声をあげるが、確かにこのときのシャンテの声はひょっとしてかの轟竜に匹敵するのではないかというほど大きな声だったのは、村の多くの人が認めることである。
「…と、いうわけなの! お願いエリザ! リーゼを助けてあげて!」
「……今すぐとはいかないわ」
「なんで!? 確かにいつもいがみ合ってるけど、それでも同じ村の仲間でしょ!?」
「そんなこと分かってる! 助けに行かないとは言わない!
あたしだって村からあいつが消えたら……その…し、静かになっちゃってつまんないし!
ただこっちだって昨日の夜帰ってきたから疲れとか準備とかあるの。ちょっと待って。準備できたらすぐ行くから。竜車の手配と、渓流からの煙には注意しておいて」
「ありがとう!」
エリザの言う“煙”とは救援要請の狼煙のことで、ハンターが緊急時に打ち上げる携帯の発炎筒のことである。赤い狼煙が立つと、村はそれを察して迅速に救出隊を組み、その場に向かわせる。この場合はアシラに追い詰められたリーゼが使う可能性を示唆していた。
エリザはサッと身を翻すと、矢筒の準備
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