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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
第一章 Locus solus ―邂逅―
1 「宿る闘志」
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「シャンテちゃん! これ!」
「はいはい、アシラ1頭ね。契約金150zでー「はいっ! 行こうハーヴェスト!」うわ! ちょっとリーゼ!」
「は、はいニャっ! シャンテさん、申し訳ありませんニャ…。ニャニャッ! ご主人! 待ってくださいニャ〜!!」
「…あれ、まさか1人で行くつもり!? リーゼ!!」

 受付嬢――シャンテが話終わらないうちにカウンターに叩きつけられた硬貨を落とさないよう、慌てて手で囲む。文句を言う暇もなく、リーゼと呼ばれた少女はギルドの外へと駆け出していった。その後を慌ててジャギィ装備のアイルーが追いかけていく。まさかと顔色を変えたシャンテの言葉は、耳に入らなかったようだった。
 石の階段を駆け下り、時折人とぶつかりそうにながらも持ち前の瞬発力と反射速度で避け、やっと村の入口の門まできた。門前の石段に座っている青年が陽気に声をかける。

「あれ。リーゼちゃん、おはよう。朝っぱらから狩り?」
「あ、はい。ロウェルさんも、朝からご苦労様です。4日後には絶対に帰ってきます!!」
「いやいや、オイラは泣く子も黙るユクモの鬼門番だからな! 今日も村の安心を守るぜ! 気をつけてな〜」
「はい! ハーヴェスト、乗った? 御者さん! お願いします!!」
「の、乗りましたニャ!」
「ニ、ニャ! 了解ニャ!」

 いつにない気迫で竜車の御者アイルーにつめ寄るリーゼロッテの後ろ姿を眺めながら、(自称)ユクモの鬼門番ロウェル・クロッツェンはぽりぽりと顎を掻いた。

「はは〜ん、さては昨日の晩に帰ってきたエリザが絡んでるな? たしか渓流のアオアシラを4日で狩ってきたんだっけ?」

 ひとっ風呂浴びようとハンターズギルドに向かった昨晩、意気揚々と帰ってきたエリザの姿を思い出す。
 リーゼロッテとエリザと、あともうふたり。たった4人がユクモ村の専属ハンターで、村人はいつもそのことについて不安がっているが、ロウェルは楽観視していた。リーゼロッテもエリザもまだハンターになって1年のひよっ子だが、それでもまだ16歳という年齢を考えれば、それも当然だといえた。お互いをライバル視しすぎて顔を合わせるたびにギスギスするのはいかがなものかと思うが。

「まだ若いのに、よくやるよなぁ……って! これじゃまるでオイラがおじさんみたいじゃねえか!」

 ケルビのようにブンブンと頭を振るロウェルの姿に、起き出してきたユクモ村の人々は今日も白い目を向けるのだった。数刻もしないうちに、親の跡を継がないことで悩んでいる彼の母親の、ヒステリックな叫びが聞こえるであろう。
 そんな彼のもとに息を切らしながら駆け寄ってくるシャンテの姿があった。

「ロウェルさん!」
「んあ? どうしたんだい? 今日もユクモの平和はオイラが守るよ!」
「んな馬鹿なこと
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