第8話『新たな高み』
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ずさって、口元から垂れる血液を手の甲でぬぐう。
「くそ、自然系の俺に攻撃を」
「あら……吹き飛ばないってのはちょっとショックだな」
呟くハントの言葉に、エースがここにいたって初めて笑みを浮かべた。
「俺の火拳をまともにくらって無事っていうのもショックなもんだぜ」
「……なんだ、笑えるじゃん」
「余計なお世話だ」
言葉を交え、会話を交え、心を交え。
どんどんと増えていく血傷に反比例して、どんどんと体力が磨り減っていく。
それでも彼らの戦いは終わらない。
「不知火!」
一本の炎の槍がエースの腕から解き放たれた。
銃弾など比にならないほどに高速なそれを、ハントはまるで事前からわかっていたかのように炎の槍の軌道から外れてそれを避ける。そのままエースへと踏み込もうとするが、まだ遠い。
「火拳!」
今度は大質量の炎。
一度目はこの炎に突っ込んで攻撃に転じたハントだったが、今回は少し距離が遠い。どうがんばってもエースに届かないだろう。
――だったら!
大地を蹴って空中に逃げる。
その瞬間、さっきまでハントがいた場所をすさまじい勢いの炎が通り過ぎた。どうにかやり過ごしたことにほっとしたハントはそこで「まず」慌ててどうにか動こうとするがもちろん空中で身動きがとれない彼にはどうしようもない。
「かかったな」
空中のハント。そしていつの間にかその直下にいたエースがハントめがけて「火柱!」
立ち上る炎がエースから生まれ、それがまるで本当に火柱が立ったかのような勢いでハントに迫る。
「……っ」
覇気でガードをしたもののダメージは免れない。
――これは……まずい。
火柱を身に受けつつ、どうにか意識を保ったハント。もちろん洒落にならないダメージを受けたのは確かだが問題はそこではない。問題は火柱を受けたことによりさらに上空へ吹き飛ばされたこと。
「まだまだ終わらねぇ!」
既にロックを終えたエースが追撃を。
「火達磨!」
いくつもの小さな火。それが蛍のようにハントをとりまき、そして炸裂。ハントの体が火に包まれた。
エースの猛攻により、ハントの意識が一瞬だが、飛んだ。慌てて意識を取り戻し、焦りを見せたときにはもう遅かった。
「げ」
「この距離で耐えられるか?」
落下するハント。
至近距離で既に身構えているエース。そして――
「――火拳!」
決着がついた。
「ふぅ……でっかいの……今度はお前だ」
肩から息をして、体中傷だらけの男がいう台詞ではない。後ろにいたエースの仲間たちが「も、もうだめだエース! 今日は逃げよう!」口々に撤退を示唆していた。
エースはその言葉に耳
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ